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すべての腰椎椎間板ヘルニアに対応できるMD法手術

.18 2012 腰椎椎間板ヘルニア comment(0) trackback(0)
手術顕微鏡とチューブレトレクタ-を用いたMD法は腰椎退行変性疾患のすべてに適応できます。
腰椎椎間板ヘルニアでは、正中型、後外側型、外側型、超外側型のすべてにアプローチを変えることで対応できます。これは過去のブログでも説明いたしました。私は再発ヘルニアもMD法で再手術を行っています。
ヘルニア単独の場合には、個々の条件によって手術の難易度に差がありますが、問題なく良好な結果が得られています。
しかし、腰椎椎間板ヘルニアに狭窄症が合併したり、すべり症、変形性腰椎症、側湾症などが合併していると、診断や手術法がより困難になります。高齢者ではこれらの病変が多発・合併する傾向があるため、診断と手術は困難となり、手術成績が悪かったり、合併症が起こりやすくなるのです。そのため、高齢者、特に70歳を超えると手術治療が積極的に行われなくなります。また、従来の手術治療は高齢者には侵襲が大きすぎることもその理由です。

私は、多数の病変の中から、症状の責任部位を推定し、可能な限り手術部位を限定する方針を採ってきました。
それは、症状と無関係な部位に手術は不要との基本認識を持つからです。しかし、どうしても絞りきれない場合には、それぞれの病変を最小侵襲に手術する方針にしています。

今回紹介する患者は、症状はL5神経根症と診断し得る。MRIでは、L4/5に脊柱管狭窄症があり、さらに、L5/S1には超外側型椎間板ヘルニアがある。後者が症状の主因と推測されるが、前者の症状への関与が否定できない。そのため、両病変に対して同時手術を行いました。もちろん、二回に分けて、先ず最も症状原因として疑われるL5/Sに手術を行い、術後、改善なければL4/5に追加手術を行うという考え方もあるでしょう。
しかし、私は、2回の手術は患者の身体と心の両方の負担と受け止め、1度の手術ですべてを治すという方針を採っています。

手術アプローチは脊柱管内病変には正中アプローチ、椎間孔外病変には外側アプローチを採っています。
Apporaches.jpg

術前のMRIでは、L4/5の中等度の脊柱管狭窄を認めます(赤矢印)。外側狭窄がありますので、L5神経根症が発現し得る所見と判断されます。
 LSCSとFLDHの合併例  LSCS  L4-5  術前横断像

術前MRI, L5/S1の右側に超外側型椎間板ヘルニア(赤矢印)を認める。
 MRI 横断像
 LSCSとFLDHの合併例  FLDH L5-S1  術前横断像

 MRI 冠状断像
 LSCSとFLDHの合併例  FLDH L5-S1  術前冠状断像

術後MRIとCT: L4/5の正中右側から両側L5神経根の除圧を行った。
  手術時間:1時間55分、出血量:20ml

 MRI 横断像
 LSCSとFLDHの合併例  LSCS  L4-5  術後横断像
 CT
LSCSとFLDHの合併例  LSCS  L4-5  術後横断像CT

術後MRIとCT: L5/S1の右側で超外側型ヘルニアを摘出する。
 LSCSとFLDHの合併例  FLDH L5-S1  術後横断像

 MRI 冠状断像
 LSCSとFLDHの合併例  FLDH L5-S1  術後冠状断像
 CT
LSCSとFLDHの合併例  LSCS  L5-S 術後後断像CT


L5神経根症はL4/5の脊柱管内、L5/S1の椎間孔内、椎間孔外の3カ所で起こります。L5神経根症はこれらの部位の一カ所、二カ所、少ないですが、三カ所で発生する可能性があるのです。これらの診断・見極めが極めて難しい課題でありつづけています。手術失敗例の中には、このような診断の難しさが潜んでいることが少なくないというのが私の印象です。

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