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腰椎椎間板ヘルニアが自然治癒コースを辿っているかいないかの自己診断法

.24 2012 腰椎椎間板ヘルニア comment(18) trackback(0)
本格的な腰椎椎間板ヘルニアの発症前に、よくぎっくり腰を経験することがあることは
このブログで説明してきた通りです。このぎっくり腰は椎間板性腰痛です。もっと具体的に言うなら、髄核を支える線維輪という靱帯の破綻に基づく痛みと考えられます。この痛みは腰痛のみであり、通常は2週間くらいには消失していきます。

髄核の突出が強くなると、臀部あたりに痛みを感じます。さらに、大腿外側や後部あたりにまで痛みが広がってくると、坐骨神経痛と呼ばれます。この痛みも1~2カ月の内に自然消失してくことが少なくありません。

さらに髄核による神経根の圧迫が強くなると、L4/5ですと下腿外側に痛みが起こり、足背から母趾にしびれが起こります。L5/S1ですと、下腿後部のふくらはぎから足底にしびれが起こります。このように症状が足へと下がってくると、ヘルニアによる神経根の圧迫が強いと判断されます。

この下肢の痛みが自然に良くなる事も少なくありません。これは、ヘルニアがマクロファージによって貪食され、融解縮小していくためです。この過程はMRIのT2強調画像でヘルニアの色調の変化と縮小として確認できます。

ヘルニアの自然縮小による症状の良くなり方は、先ず、臀部や大腿部の痛みが軽減・消失し、歩行がしやすくなります。一方、下腿のしびれの改善は痛みよりもかなり遅れます。そのしびれの取れかたは、膝から足先に向かって順次下がっていく形をとります。すなわち、足先のしびれが最後になるのです。神経根の障害が強い人ほど、しびれの解消に時間がかかり、最終的に足先に残る人もあります。

以上、一言で腰椎椎間板ヘルニアの症状の改善の仕方を表現するなら、発症からの症状の進行を逆行するように、すなわち、ビデオを逆回しするように症状の改善が進むのです。このような改善を示しているなら、自然治癒の経過と判断できます。もちろん、MRIでそれを確認できたなら安心できるでしょう。


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関連記事

drshujisato
15/09/08のakiさんへ  e: 保存治療継続中 その後

急性期の激痛は緩和されたが、立位でしびれが起こるため、歩行が困難なのですね。
これは急性期の炎症性痛みが軽くなった一方で、ヘルニアが脊柱管を狭めているため脊柱管狭窄症と類似した
症状になっていることを示しています。
どうも、ヘルニアが吸収縮小過程にない可能性があります。
これを明らかにするのは、MRIでヘルニアが縮小しているかを確認することですが、縮小してもヘルニアのでている部位の
条件によっては神経根症状が慢性化し、脊柱管狭窄症様の症状が持続し、次第に足のしびれが増強したり、
麻痺が発現したりすることがあります。
この辺の問題については、主治医によく説明を受けたらよいでしょう。
参考になれば幸いです。

FROM SHUJI SATO
2015.09.09 23:28
aki
お忙しいところ、お返事いただき、ありがとうございました。
現在も、激痛ではなくなりましたが、下肢痛と痺れが続いています。安静に寝ているときは何ともないのですが、立っていると1分くらいで強い痺れがくるので、歩き回ることは無理で、椅子やソファに座るのもまだ痛くてできません。

急性期の痛みに比べると、1ヶ月経ち、ずいぶん軽減していることは実感するのですが、ヘルニアが吸収されて、回復に向かっているのかどうかがわからないために、不安になるのだと思います。
先生の記事にあるように、下肢の痺れの改善には時間がかかるようですし、はっきり「ヘルニアは吸収されていて、治癒に向かう回復期の途中段階ですよ」とわかれば、納得して向き合うこともできるのでしょうが、これは担当医じゃないと何ともわからないですよね。(再度MRIを撮れば、さらにはっきりするのだと思いますが…)
いつまで続くのか、先が見えない不安から、気持ちも落ち込み気味ですが、次回の診察時に担当医にきちんと聞いてみたいと思います。
この度はアドバイスありがとうございました。またご相談させていただくことがあるかもしれませんが、よろしくお願いいたします。
2015.09.08 10:51
drshujisato
15/09/04のakiさんへ  Re: 保存治療の継続中で悩んでいます

腰椎椎間板ヘルニアの多くは自然治癒しますので、通常は保存治療で経過を見ます。
しかし、自然吸収が進まず慢性化するものがあります。
この場合は、手術が必用です。
慢性化したから後遺症が必ず残るわけではないですが、その危険性がでてきます。
その判断を一般の方が行うことはできませんので、専門医とご相談ください。
ただし、専門医の判断はそれぞれで異なることが多いので納得できる
選択をなさることです。

それではお大事に。

from SHUJI SATO
2015.09.06 22:34
aki
先生のブログ記事を見つけて以来、
何度も読み直しています。
7月末より坐骨神経痛が始まり、悪化したために、評判の良い病院に転院してMRIを撮ったところ、椎間板ヘルニアが判明しました。激痛で、8月10日から歩けなくなり、かれこれ3週間寝たきりの生活です。
飲み薬、坐薬はあまり効き目がなく、神経根ブロック注射も2回行いましたが、顕著な効果が見られないことから、手術を検討することになっていました。
今週(火)が担当医の先生との面談だったのですが、なぜかその日に合わせたように、調子が良く、ゆるゆる立ち上がって歩けたもので、手術は見送りになりました。
私も回復期に入ったのかと嬉しくなり、期待したのですが、翌日からまた痛みと痺れが戻りました。(症状は左足全体です) 少し立つとビリビリ痛いので、横になる、という状態です。夜は激痛ではなくなりましたが、ずっとピリピリジンジンで、熟睡はできません。
確かに、急性期は過ぎつつあるのかな、と思うのですが、慢性期に入る時期に、手術をするのはどうなのでしょうか?
仕事もずっと休んでいる訳にもいかず、保存療法のままで、いつ回復して復帰できるのか目処もつかず、悶々とした気持ちでいます。
発症して、まだ1ヶ月余りですし、もうしばらく様子を見るべきかもしれませんが、手術は早い方が、後遺症が少ないと聞きますので、心が揺れています。
長文で申し訳ありません。ぜひ先生からのアドバイスを伺いたく、お便りいたしました。よろしくお願いいたします。
2015.09.04 10:52
drshujisato
15/03/18のはなはなさんへ Re: 再度すみません…

椎間板ヘルニアが自然吸収されて治癒に向かう向かい方は私の本「腰椎手術はこわくない」に詳しく書いてありますので参考にしてください。
ここでは簡単に説明します。
もし、ヘルニアの吸収が進んでいるのであれば、まず腰や仙腸関節部、臀部、大腿部の痛みが消失します。腰の姿勢による影響も消失します。下肢のしびれや麻痺の改善には時間がかかります。
この基準で判断すると、あなたのヘルニアは吸収が進んでいない可能性があります。この点はMRIでわかりますので、再検討していただいたら良いでしょう。ヘルニアの中には、自然吸収が進まず、神経根の圧迫が残り、慢性化するものがありますので、是非、再検討してもらってください。

お大事に。

FROM SHUJI SATO
2015.03.22 17:53
はなはな
先日退院して今は自宅で最低限の家事をして過ごしています。
今日で発症から丁度1カ月が経ちました。
軽度の右下肢の痺れと時々ビーンと電気が走る感じの時あり。
立位時と歩行時に代償の為か背筋群が疲れる。
右臀部の疼痛(貼り薬で紛れるくらい)。
などの症状がありますが何とか生活できています。
しかし、未だに仰向けで寝ると右の仙腸関節付近が痛い、右向きに寝ると右下肢の痺れと痛みが増強するために、左向きにしか寝れません。
こういったことを家族に話すと、他の病院で診てもらうべき。手術するべき。と言われます。
自分としても良くはなってきているものの完治ではないし…とは思い判断に迷っているところです。
先生の考えもお聞きしたくコメントさせていただきました。
よろしくお願いします。
2015.03.18 08:59
drshujisato
15 /03/07のはなはなさんへ  Re: 励みになりました。

お役にたてて嬉しく思います。
私は腰椎変性疾患の治療レベルが上がっていくことを願っています。
そのためには、患者さんが正確な病気の知識を持つことが必要です。
それを援助することも、このブログを書いている理由です。
これからも続けていきますので、宜しくお願いします。

FROM SHUJI SATO
2015.03.07 21:45
はなはな
まだ痛みはありますが、まとまった睡眠がとれるようになり安堵している所です。
今回、痛みでどうしようもなかく精神的におかしくなっていた時に、先生のブログに出会いました。とても参考になりましたし、ご丁寧に返信までして頂けて、それが更なる励みになりました。
私は脳外科病院に勤務している医療人ですが、当院にも先生のような名医がいれば…と毎日思っていました。腰痛を訴える患者さんは多いですから…
今後もこのブログを続けていただければ幸いです。
ありがとうございました。
2015.03.07 10:22
drshujisato
> 15/03/05のはなはなさんへ  Re: ありがとうございます。
>
> 入院されて、安静をとっているのですね。
> 痛みにはそれが良いと思います。
> 仙腸関節あたりの痛みの原因はヘルニアによると思いますよ。
> ヘルニアがよくなればその痛みもよくなるはずです。
> 今後の経過をみて、治療法を判断していただくことです。
> お大事に。
>
> FROM SHUJI SATO
2015.03.06 22:49
はなはな
今までは自宅療養でしたが、治り方が鈍く、また小さい子供もいるため、主治医が入院を勧めてくださり昨日より入院治療をしています。
点滴などで下肢の痛みと痺れが和らいだため、2週ぶりにまとまった睡眠がとれました。
しかし、仙腸関節部を圧迫(仰臥位)した時の痛みは和らぐことはなく、ヘルニアの痛みではないのではないか?と自分で考えていました。
なんだか、自分の身体がハテナだらけで気持ちが休まる時がないので疲れます…とにかく今は薬に頼るばかりです。
長文で失礼しました。
ありがとうございました。
2015.03.05 07:17
drshujisato
13/03/02  はなはなさんへ Re: 再度、返信ありがとうございました。

発病後2週間ですね。
痛みの改善が本物で、今後消失へ向かうのか、慢性化するのかは
MRIによるヘルニアの評価が必要です。
現在の主治医かきちんと根拠を示して保存治療を勧めるのでなければ、他院で再検討してもらうと
よいと思います。自然に消失するヘルニアはそろそろ画像上の変化を示しているはずだからです。

FROM SHUJI SATO
2015.03.04 21:06
はなはな
発症から2週間弱が経ち、薬の助けを得ながら大分歩けるようになってきました。
しかし、やはり殿部、下肢の痛みと痺れのために夜に眠ることが困難な状態は変わりません。左向きだと辛うじて30分程度は眠れます。
さすがに2週間も眠れていないと手術も頭よぎります。
現在通院して病院の先生は保存治療で。と言っています。
もうそろそろ、違う病院で診断をしてもらった方がよいのでしょうか?
全てに無知ですいません。
よろしくお願いします。
2015.03.02 12:30
drshujisato
15/02/27のはなはなさんへ

ヘルニアによる急性期の痛みは本当につらいもので、よくわかります。
このブログ相談室では、病院や医師の紹介はできませんことをご了承ください。
札幌にも信頼できる医師は必ずいますので、地元での情報を収集されることです。

FROM SHUJI SATO
2015.02.27 21:05
はなはな
相変わらず激痛にみまわれ、夜も眠れない日々が続いています。
私は札幌在住ですが、札幌にも先生のような名医はいるのでしょうか。
いっこうに良くならないので、名医がいるのなら一度診ていただきたい思いでいっぱいです。
どうかよろしくお願いします。
2015.02.27 17:49
drshujisato
15/02/26のはなはなさんへ  Re: 助けて下さい。

ヘルニア発症後1週間というとまだまだ炎症性の痛みの強い時期にあたります。安静と消炎鎮痛剤、
ステロイド剤、ブロックなどで炎症期を乗り切ることが必要です。
早期手術が必要なのは、神経障害が強い場合であり、通常はまだ保存治療です。
ヘルニアの自然経過や手術が必要なヘルニアについては、過去のブログや今回執筆した「腰椎手術はこわくない」に詳しく書いてありますので、参考にしてください。

FROM SHUJI SATO
2015.02.26 23:05
はなはな
腰椎ヘルニアを発症し一週間が経過したところです。
仕事は発症時より休職し安静にしていますが、未だに臀部と下肢の痛みと痺れでまともに眠れません。薬は服用していますが、あまり効いていないのか…
もう、めげそうです。
良くなるのでしょうか?
手術で良くなるなら今すぐにでもしたいくらいです。
返信お願いします(*_*)
2015.02.26 11:24
drshujisato
俗にぎっくり腰と呼ばれる腰痛の原因には、椎間板性の外、椎間関節性のものがあることは間違いありません。後者に関して、半月のエクストラップメント説が正しいかに言及は避けますが、椎間板変性と椎間関節変性の相互的侵害関係が痛みやヘルニア発生に関係していると私も考えています。
ぎっくり腰を経験しないで椎間板ヘルニアに進んだ患者を私も少なからず診ています。椎間板や椎間関節の変性に始まり、急性腰痛や椎間板ヘルニアに進むプロセスは一様ではないと思われます。
2012.11.25 23:09
ヘルニア手術経験者
ぎっくり腰の原因は「半月のエクストラップメント」じゃないんですか?私は、ぎっくり腰の経験は一度もありませんがヘルニア手術まで経験しました。
2012.11.25 20:15

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