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術後約3ヵ月で再発した腰椎椎間板ヘルニアの治療について

.26 2012 再発腰椎椎間板ヘルニア comment(7) trackback(0)
患者は40代女性。
初回ヘルニア摘出術後約3ヵ月でヘルニアが再発した。初回ヘルニアよりも大きく、神経根の圧迫も強い。保存治療で自然治癒を期待するか、再手術を行い早期治癒へ向けるか。
私は再発例では、早期手術を原則にしており、この患者でも日程を調整して出来るだけ早い再手術を行った。

初回術前MRI矢状断像:左L5/S1に矢印で示すヘルニアを認める。
初回術前MRI 矢状断像

初回術前MRI横断像: ヘルニアは小さいが神経根を直撃している。
初回術前MRI横断像  


初回術後MRI 矢状断像:ヘルニアは摘出され、
初回術後MRI矢状断像

初回術後MRI 横断像 :S1神経根がきれいに描出されている。
初回術後MRI横断像

退院後、再び左下肢痛が発現し、歩行にも困難ありと再受診される。

再発術前MRI 矢状断像:前回の部位に大きなヘルニアの再発を認める
再発術前MRI 矢状断像

再発術前MRI 横断像
再発術前MRI横断像

手術は、前回の17mmの切開創を開き、MD法で再発ヘルニアの摘出と椎間板摘出を行った。ヘルニアはS1神経根と
硬膜管に割り込み後方へ大きく脱出し、ヘルニアと硬膜・神経根の間には強い癒着を認め、瘢痕性組織も形成されていた。一口で表現するなら、S1神経根はヘルニアと瘢痕組織の中に埋まっていた。このS1神経根への圧迫影響を除去することが手術の目的である。ヘルニアを摘出しても、S1神経根の圧迫・拘扼が完全に除去されなければ、患者の症状はすっきりと良くならないのである。
手術時間は1時間10分、出血量は10mlであった。


再発術後MRI 矢状断像:ヘルニア摘出部位に小血腫を認めるが、やがて吸収消失する
再発術後MRI 矢状断像

再発術後MRI 横断像
再発術後MRI 横断像


術後すぐに下肢痛は消失し、術後10日で退院した。初回術後から残っていた足の小指しびれは認めるが、再発による新たな障害は残らなかった。術後、鎮痛剤は不要になった。
手術所見は既に神経根の周囲に癒着は強く、ヘルニア摘出に困難を伴ったが、再発ヘルニアはほぼ全摘出できた。術後経過は順調であり、再手術は成功と判定できる。

私ども外科医の手術は結果がすべてである。術後患者の症状が改善し、患者の満足を伴う治療結果がなければ、手術は成功したとはいえない。外科医が頭で考えた通り、予定通りに手術ができたとしても、結果がそれに伴なわなければ、手術は成功したとはいえないというのが私の見解である。

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みき
早速お返事くださり、ありがとうございました。フェイスブックはもう一度ボタンを押し直して、友達リクエストしました。
メッセージも書きました。
よろしくお願いします。
2013.12.20 00:39
drshujisato
まず、FBについてですが、その時確認しましたが、友達申請の有無が解りませんでした。できましたら、もう一度お願いします。
また、腰椎椎間板ヘルニアの場合には症状が自然改善、消失することが少なくありませんので
症状が良くなってきているのなら、手術が本当に必要かの再検討が必要です。
MRIなどの画像を病院あて送っていたただいても良いのですが、返却は出来ませんので、コピーを送るなとの
方法をお願いします。
2013.12.19 23:39
みき
先生こんにちは、前に先生にいろいろな質問をさせていただき、とても感謝しています。あれから、検査入院したり、色々な気持ちで過ごしてきました。以前、fbのお友達になってくださいと申請をさせていただきましたが、先生は忙しいので、オッケーがきません。よろしくお願いします。
私事ですが、11月の終わりに病院に行って、来年の2月の中旬に顕微鏡のラブ法で手術することに決めました。
入院期間が21日と書かれたんですけど、そんなに入院するものなんですか。なんか、日にちがまだ先なんですけど、左足の坐骨神経が調子よくなってきたりして、前に神経こんブロック注射したから痛みが少し和らいだのかと思ってるんですけど、歩けるし仕事もしてるし、このままでもいいのかななんて、手術すると決めたのに悩んだりしています。でも、調子悪いときや、腰が痛くなったり、いろいろなんですけど、左足の神経は痛みます。
前に、先生に画像の診断は行ってないと言われたんですけど、先生に私のMRIみてもらうことはできないですか、どうしてもだめですか
この間、病院行って画像をとらせてもらったんです。MRIと脊髄造影検査の画像を、
私のヘルニアはやっぱり手術してもいいのか、先生のご意見聞きたいんです。
あと、私のヘルニアは引っ込まないかも知りたいんです。
全然だめならいいんですけど、私の手術に対する気持ちがゆらいで悩むんです。手術なんて、したことないし不安です。どうかよろしくお願いします。
2013.12.19 17:30
drshujisato
事実と真実とは必ずしも一致しません。
従来の診断学と治療学からは今、我々が手にした指針以上ものは
出てこないでしょう。
腰椎変性疾患に苦しむ患者救済の道を切り開くには
新しい視点が必要であると私は取り組んできました。
その道筋が見えてきた私には今回の指針は
これからの腰椎治療の可能性よりも限界を暗示しているように思われます。
指針とは現在における標準的な治療の考え方を示すものですが、それを実践する者によって
生きも死にもするのだと思います。
2013.01.02 22:55
学会もようやく事実を・・・
日本整形外科学会と日本腰痛学会は30日までに、腰痛の発症や慢性化には心理的なストレスが関与しており、画像検査などでも原因が特定できない腰痛が大半を占めるとの診療ガイドライン(指針)をまとめた。

 重篤な脊椎疾患の兆候がない限り、すべての患者に画像検査をする必要はないとしている。腰痛があればまずエックス線で骨や神経の異常がないか調べる現在の診療の在り方が変わりそうだ。

 腰痛の診療指針は初という。個々の医師の経験や勘により行われてきた診療を、科学的な根拠に基づいて統一的に行うのが目的。2001年以降の国内外の医学論文4千件から厳選した約200件を基に、両学会の専門家が医師向けに策定した。

 指針によると、腰痛は発熱や胸部痛といった危険信号の有無などで(1)がんや外傷、感染などの重い脊椎疾患が疑われるもの(2)まひやしびれ、筋力の低下など神経症状を伴うもの(3)原因が特定できない非特異的腰痛―に分類することが重要とした。

 非特異的腰痛は、いわゆるぎっくり腰やストレスが原因となっているものを含み、全体の85%を占めるとの研究があるという。

 非特異的腰痛は、職場での人間関係や仕事量の多さ、仕事上の不満、うつ状態など心理社会的要因が関与している強い証拠があると指摘、ストレスを軽減するような精神医学療法が有効だとした。

 また、安静は必ずしも有効ではなく、非特異的腰痛ならできるだけ普段の動きを維持した方が早い改善につながるという。
2012.12.31 12:17
drshujisato
腰椎椎間板ヘルニアの手術の成功とは、ヘルニアを摘出し、それによって発現していた腰痛や神経症状が改善されることであり、再発の有無を含むものではありません。ヘルニアの再発は術後のいつの時点でも起こりえるもので、それは患者側の要因、すなわち、椎間板が変性により非常に脆くなった状態であったり、椎間板の防波堤ともいえる線維輪が大きく破綻している状態などが関係しているのです。線維輪や後縦靭帯の手術による修復はまったく不可能です。また、いったん破綻した線維輪の自然修復も不完全なものです。もし、再発を完全に防止したいのなら、固定術を行う以外に方法はないでしょう。しかし、固定を行った隣の椎間板にヘルニアが起こりやすくなることを知る必要があります。
今回紹介した症例は、初回手術後は症状が改善して退院されており、ヘルニアがきちっと摘出されているのはMRI画像を見ていただければ素人の方でも判断がつくと思います。この症例を通して皆さんに伝えたかったことは、再発ヘルニアでも外科医に確かな技術があれば、患者を痛みから早く解放してやれるのだということです。全国には再発ヘルニアの治療に悩む方々が多いと思いますので参考にしていただければと思います。
2012.12.27 23:35
アズキョン
初回術後から僅か3ケ月で再発、初回の手術が完全でなく再発したのでは?完全にヘルニアを摘出出来ず残ったのでは?手術では後縦靭帯の修復はしないのですか、しなければ、そこから残ったヘルニアが又出てきてもおかしくはありません。
2012.12.27 09:56

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