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日本整形外科学科と日本腰痛学会がまとめた腰痛診療の指針に対する私見

.02 2013 腰痛 comment(18) trackback(0)
昨年12月31日の日経朝刊に日本整形外科学科と日本腰痛学会がまとめた腰痛診療の指針が掲載された。膨大な国内外の医学論文の吟味を通して得られた指針である。総論的には現レベルの考え方として、その内容は理解できるものである。

 しかし、この指針がこれからの腰痛診療をどう良い方向へ変えていくかについては些かの疑問を感じる。なぜなら、現状において、医師の腰椎変性疾患に対する診断力は必ずしも高くはないというのが私の印象であり、実感であるからだ。保存療法で良くならない患者がいる一方で、手術で良くなるはずと手術をしても、良くならない患者が出ることは今の時代においても珍しいことではない。治療結果が不良である場合には、患者側の問題と合わせて、あるいはそれ以上に医師側の問題についても厳しく検証することが必要である。

 新しい指針の概要は、問診と身体検査によって、腰痛は (1)がんや外傷、感染などの重篤な脊椎疾患による腰痛と、(2)まひやしびれ、筋力の低下など神経症状を伴う腰痛と(3)原因が特定できない非特異的腰痛に分類することが重要としている

 さて、この分類の中で問題が生じるのは(2)と(3)である。私はこれらのグループに属する患者がしばしばと言って良いくらい適切に診断・治療されていないのを経験してきた。その主な理由は、「神経症状が正確に把握されていない。神経学的所見・評価が不十分、不適切である。MRI所見が正確に読めていない。手術が不適切である」などである。当然のことながら、誤った診断のもとでは、保存治療も手術治療も良い結果をだすことはできず、治療に対する患者の期待を裏切ることになる。

 腰痛の診断が難しい最大の理由は、診断法が未だ確率されていないためと言っても過言ではない。現状では、医師の経験と総合的な判断力が診断結果を左右する。いかに高性能のMRIを使おうがMRIは答えを教えてはくれない。医師が答えを見出さなければならないのである。 

 繰り返すが、腰椎変性疾患の診断は極めて難しいのである。レントゲン所見やMRI,CT所見などを単なる加齢変化と見なすか、患者の腰痛や下肢の症状を起こしている病変、すなわち原因と同定するかは、実に患者の症状と身体所見の関連性を見極める力にかかっているのである。

 この指針で一番気になる点は、医師の診断力不足から非特異的腰痛という病名が安易につけられてしまう恐れであり、良くならない原因は患者の精神的問題と片付けられてしまうことである。

 我々がどんなに良い指針を手にしても、実際の診療の場で適切に活用され、患者の痛みや生活の不自由が改善・解消されていかなければ指針は意味を失うのである。ある意味、これからは指針を利用する医師の力が試さるのである。少なくとも(2)のグループに属する患者に対しては、神経を障害する原因追及を諦めるべきではないというメッセージが込められていると私は理解する。

 この腰痛診療指針が患者を救済する指針とならずに、単に患者を良くできない医師の免罪符として利用されることのないよう、今後の腰痛診療を見守る必要がある。

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drshujisato
14/08/25の多分幸さんへ

腰椎疾患は本当に難しいと私はいつも感じています。
私ども専門家にとっても難しいのですから、患者さんにとっては、尚更のことと思います。
貴方は素晴らしい医師と出会え、本当に良かったと思います。
患者さんの苦しみを少しでも共有して、治療に当たろうと考えている医師は少なくないと私は思いますが、
患者さんの満足につながる診療となると、なかなかそうはならない現実があるように思います。
貴方のように手術をまえむきにとらえられる患者さんが一人でも多くなることを期待して、
私も残る少ない人生を脊椎手術にかけていきます。
脊椎手術こそ、脊椎変性疾患に悩む患者さんを救う最後の、唯一の治療法と私は信じて疑わないからです。
貴方によって、私も励ましていただきました。
ありがとう。

from 佐藤 秀次
2014.08.25 23:42
-
このたびも又、大変お世話になり有難うございました。
すべり症手術後の、唯一の不安点を取り除いて頂きました。

多少の不具合があって普通であると理解し、
瘢痕組織も、S字が強いことも、複合して何らかの影響を与えているものと思います。

そしてこれは自分の腰に合った床を選べば済むことであり、
容易に回避できることですね。
又、この先少しずつ良くなっていく可能性もあると信じて
生活することに致します。

私の場合、実際に手術して頂いた主治医も佐藤先生と同じく、患者さん一人ひとりのQOLを大切に考えて下さり、手術の時期の大切さを説いて勧められたので踏み切ったのですが、
そのように導いて下さった主治医には大変感謝しています。

一番最初に行った整形外科では「手術はお勧めしません」と
言われ、電気治療に通うよう指示されました。
何度か通いましたが、効果なしと見切りをつけ、他の病院探しをしていたところ、主治医との出会いとなった訳ですが、
患者も一ヶ所に固執せず賢くならなければならないと思います。

2年前にはまだ62歳でしたが、続けて25分歩くのが限界。
草取りの姿勢は5分と持たず。
1日デスクワークすると鈍痛が酷く同じ姿勢でいられなくなる。
等々日常生活上の辛さに、老後の不安が募る一方でした。

しかし、現在は気が付いたら2万歩も歩いていたり、
庭中の草取りも出来、デスクワークもなんのその。
生活そのものがアクティブに変わりました。

佐藤先生との出会いは、術後の不安な時期でしたが、
質問させて頂くたびに温かくご丁寧にお答えくださり、
心から尊敬できるお二人の先生方に出会えたことは
とても幸せであったと感謝しております。

佐藤先生
いつまでもお元気で、益々のご活躍をお祈り申し上げます。

2014.08.25 22:38
drshujisato
14/08/24の幸さんへ


昔から、枕が変わったり、床が変わったりすると、首や腰が痛くなるという話があります。
私自身はホテルに泊まっても、余り影響は受けませんが、人の身体によっては
都合の悪いことが起こるのだろうと思います。
ましてや、腰椎固定術という非生理的な治療を受けているわけですから、
違和感を含めて、色々な不具合を感じる方が普通なのかも知れませんね。
瘢痕組織は思い当たる一つの可能性であって、全てではないと思います。
普通より腰椎のカーブが強いことも無関係では無いかも知れませんね。
悪いことが起こっているとは思えませんので、自身の腰にあった床にするよう注意することだと思いますよ。

FROM 佐藤秀次
2014.08.24 22:28
佐藤先生

おはようございます。
ご多忙の中、早速ご回答くださいまして有難うございました。

他の方へのご回答の中にもあります《瘢痕組織》というものが
私の場合も出来ているということですね?
それが原因ということが分かり、ホッと致しました。

主治医から、その点についてははっきりした説明がなく
腑に落ちずに不安感がありました。

確かにいつもストレッチを勧められ、努力はしています。
年月を経るほどに柔軟性が出てくれば、症状がすっかり収まることも有り得るのでしょうか?

又、私の場合、脊柱のS字カーブが普通の人より強いことから
上向きに寝るのが辛いかも?とは言われています。
それも不安材料の痛みと関係があるのでしょうか?

何度も申し訳ございませんが、お時間のある時で結構ですのでご回答頂ければ幸いに存じます。
2014.08.24 08:17
drshujisato
14/08/23の幸さんへ

投稿先の移行ができるのか、できたとして、その方法が判りません。
ご了解ください。


佐藤秀次
2014.08.23 21:58
drshujisato
14/08/23の幸さんへ


 腰椎固定術後の状態に関しては、EXCELLENTと思います。良い手術を受けられたと思います。
さて、現在の不安材料に関しましては、床の固さと関連していそうですね。
柔らかすぎてもだめ、固すぎてもだめということですよね。ということは、姿勢の影響を受ける腰椎の部位の問題ということになります。固定部位では、動きはなくなっていますので、姿勢の影響を受けません。しかし、固定した近くの腰椎上には瘢痕組織ができており、さらに動きがありますので、姿勢の影響を受けて痛みなどの症状が出やすい時期があるかと思います。現在の症状が術後からあり、次第に軽減しているのは、瘢痕組織に柔軟性がでてきたせいでしょうかね。担当の医師がストレッチなどの運動療法を指導されるのは、そういうことからかも知れませんね。固定後の腰椎は生理的な状態にあるわけではないので、貴方のようなこともあるのだと思います。
しかし、これは将来に対して、新たな問題につながる兆候とは異なると思います。
不安を持たなくてよいと思います。


佐藤秀次

2014.08.23 21:55
佐藤先生

ご無沙汰致しました。

2012/7月初旬に、佐藤先生と同じ志を持たれ、
脊柱管狭窄症やすべり症のスペシャリストと言われている
主治医に腰椎変性すべり症の手術(L4/5のTRIF固定術)
を受け、
2012/8/17・8/18・9/5にこちらでお世話になりました
幸(現在64歳)です。
その後、2012/9/6には手術経験者としてのコメントを紹介
して頂き、少しでもお役に立てれば・・と思っておりました。

さて今回は、術後2年を経過した現在の体調と、
1つの不安点についてお伺いしたく訪れました。

7月に術後2年の定期検診を受けましたが、
ボルト固定部分の骨は周りの骨と完全に融合しており、
極めて順調。
生活上の制限はゼロとのことでした。

確かに、普通に歩く・走る・体を曲げる・捻る・
重いものを持つ等々は、健康体とほぼ変わることなく、
2万歩歩いても何ら支障はありません。

しかし、寝具によるように感じるのですが、
寝た姿勢から起き上がり、立ち上がるまでが痛く不安定で、
歩き出してからは、突然、手術した部分辺りからバリバリとした感じで周辺に痛みが走り、それと共に腰の支えがなくなったようになり(スポッと抜けるような感覚)何かに摑まらないと
立っていられなくなります。
このような状態は2.3分で収まり、
その後は何事もなかったように歩けます。

私の感覚としては、手術部位の周辺を筋肉がしっかり支えて
いないように感じるのですが。。

この症状は術後からありましたが、起こる頻度は大分減ってきてはいます。
又、普段使用しているベッドでは全く起きず、ソファーや
柔らか目の布団、硬めのカーペットに横になって
いて起き上がる時が殆どです。(起きないこともあります)

寝て撮影するレントゲン台の上や、CTの台から下りる時は
最も辛い思いをします。

2年検診時に主治医に相談しましたところ、
レントゲンやCTからは、そのような所見は全くみられない。
腹筋や背筋を付けるべく、運動するように、とのことでした。

先日宿泊した 上質なベッドを売りにしているホテルでは、
起床時すぐから全く違和感なく、大変快適でした。
因みに自宅ベッドではここまでの快適さはなく、
起床してから暫く(1時間くらい)のぎこちなさは仕方ない
ものと思っていましたので、やはり寝具に関係があるの
かな~??と思ったりしています。

たまに遭遇するこのような不具合?が不安材料では
ありますが、総じて1歳でも若いうちに手術し、
腰の鈍痛や、歩行困難から解放されたことにとても
満足しております。

長くなりましたが、先生のお考えをお聞き致したく
お忙しいところ恐縮ですが、宜しくお願い申し上げます。






2014.08.23 20:22
-
このコメントは管理者の承認待ちです
2013.01.04 23:52
脊柱管狭窄患者
指針は後追いの物で、現実問題の解決にはならないと思います。一番の問題は医師の問題解決能力が不足していると云うことです。これなくしてなにがあるのか?患者の疾患は年々複雑化し、難しくなっているのに、医師の能力は変わらない現状、
医師はもっと総合的な勉強が必要です。自分で分からなけば分かる医師の元で研修すればいいのに、専門医とか指導医のカンバンにあぐらをかいてないで、
2013.01.04 11:15
山口
佐藤先生様

大変貴重なご回答ありがとうございます。
なるほどと思いました。馬尾症候群と同類ですね。
因みに私は、神に誓って医師ではありません。下肢痛患者です。
勉強は少ししています。
お騒がせいたしました。

山口
2013.01.04 00:54
drshujisato
素晴らしい質問です。
これは、私の長い間の疑問でもあったのです。
MRI画像と患者の症状の推移を見比べる期間がかなりありました。
そいて、やっとわかったんですよ。
ヘルニアによる単なる神経根圧迫の症例では、ヘルニアが残っていても
症状は原則改善していくのです。例外はありますよ。その理由もわかりました。
良くならない症例では神経根がヘルニアと骨との間で板ばさみになっているのです。
これを神経根の絞扼と言います。ヘルニアでも神経根が絞扼状態にある症例では
症状は慢性化したり、症状が悪化し、麻痺が進行したりするのです。
このような症例では、ヘルニアが消えるまでのんびり待つことは危険なのです。
このように絞扼されるタイプは脊柱管がもともと狭いか、脊柱管の狭い部位にヘルニアが入りこんでいる場合で、椎間孔もそれに該当します。そしてヘルニアが大きい症例です。これとは逆に、神経根が絞扼をのがれるのは脊柱管が生まれつき広い患者です。
ですので、大きいヘルニアであっても、脊柱管が広いなら、自然経過で良くなる例もあるのです。
これは専門家でもまだまだ理解されていないと思います。
貴方は素晴らしい疑問を持たれたので、特別にお答えしました。
もしかしたら、素人さんではないかもしれませんね(笑)。
2013.01.03 23:17
山口
佐藤先生様

ありがとうございました。

構造の変化(ヘルニア、狭窄)で神経根への障害が発生し、 下肢に強い痺れや痛みが発生した場合、構造の変化を直し 神経根への炎症等の障害をなくすことが大切なのですね。 それには、正しくこれらを見つけるこが難しいが重要であ る。

ただ1点不思議なのが、ヘルニアが自然に消滅していない 状態で、保存療法で改善するのは何故なのでしょうか?

ヘルニアが神経根へ圧迫をしていて神経根の炎症が続いてい る 状況のなかで、保存療法で何故痛みしびれが改善するので しょ うか?

ここがやはりわかりません。

度々ですが、ぜひとも先生様のお考えをお聞かせくださいま せ。

山口
2013.01.03 20:43
drshujisato
今回のガイドラインの重要なポイントは、「画像検査などでも原因が明らかでない」と「重篤な脊椎疾患の兆候がない限り」にあります。これらは非特異的腰痛のキーワードと言えるでしょう。しかし、果たして画像検査が適切に読影されているでしょうか。いまだ、椎間板ヘルニアでは外側型や超外側型は見逃がされたり、椎間孔狭窄や椎間孔外狭窄などは手探りの状態にあるのが現状です。さらに、高齢者の腰椎変性疾患にはお手上げ状態とさえいえるのが現状です。そして、これらの疾患は多くの場合、重篤な脊椎疾患の兆候を示しているのです。つまり、神経障害を伴う腰痛であり、非特異的腰痛などではないのです。このあたりの鑑別力が不十分では誤診・誤治療が発生するのです。神経症状を伴わない腰痛でも非特異的腰痛ではないものに、分離症やすべり症があります。これらはレントゲン撮影やCTを行わない限り、診断確定できないのです。このような現状を考慮すると、非特異的腰痛は存在しても、全体の85%という数字には疑問があります。
私が、指針の大筋は理解出来ると言ったのは分類の考え方であって、どう分類するかは別の問題です。どう分類するかに医師の診断力がかかっているのです。患者は自分の腰痛の原因が何であるのか知りたいのは当然であり、検査なしに非特異的腰痛では納得いかないことになるでしょう。この指針の大きなメリットは医療費の削減にあると思われる方もいるかと思いますが、医療費は増えても減ることはないのではと想像します。さらに、重篤な疾患を見逃し、患者に不利益となる事例が更に増えるのではとの懸念も消しがたいです。、
2013.01.03 19:24
山口
佐藤先生様

いつも興味深く症例や、先生のお考えを教えていただいて おります。

今回学会がまとめた内容は、先生の方針とかなり違うよう に思え正直戸惑っております。

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腰痛にストレス関与 安静、有効と限らず 学会が診療指針 (日本経済新聞)

日本整形外科学会と日本腰痛学会は30日までに、腰痛の発 症や慢性化には心理的なストレスが関与しており、 画像検査などでも原因が特定できない腰痛が大半を占める との診療ガイドライン(指針)をまとめた。

重篤な脊椎疾患の兆候がない限り、すべての患者に画像検 査をする必要はないとしている。腰痛があればま ずエックス線で骨や神経の異常がないか調べる現在の診療 の在り方が変わりそうだ。

腰痛の診療指針は初という。個々の医師の経験や勘により 行われてきた診療を、科学的な根拠に基づいて統 一的に行うのが目的。2001年以降の国内外の医学論文4千 件から厳選した約200件を基に、両学会の専門家が 医師向けに策定した。

指針によると、腰痛は発熱や胸部痛といった危険信号の有 無などで(1)がんや外傷、感染などの重い脊椎疾患 が疑われるもの(2)まひやしびれ、筋力の低下など神経症状 を伴うもの(3)原因が特定できない非特異的腰痛――に分類することが重要とした。

非特異的腰痛は、いわゆるぎっくり腰やストレスが原因と なっているものを含み、全体の85%を占めるとの 研究があるという。

非特異的腰痛は、職場での人間関係や仕事量の多さ、仕事 上の不満、うつ状態など心理社会的要因が関与し ている強い証拠があると指摘。ストレスを軽減するために ものの考え方を変える認知行動療法などの精神医 学療法が有効だとした。

また、安静は必ずしも有効ではなく、非特異的腰痛ならで きるだけ普段の動きを維持した方が早い改善につ ながるという。発症から3カ月以上たった慢性腰痛には運 動療法は効果があるとした。

指針の策定委員会のメンバーである福島県立医大の矢吹省 司教授(整形外科)の話 患者が望むこともあり、 現状では約8割で画像検査をするが、痛むからといって、 画像で原因が分かることは実は多くない。単に加 齢で起きている骨や神経の変化を画像で患者に示して「だ から状態が悪いんだ」と思い込ませるのは逆効果 だ。慢性腰痛では、深刻に考えすぎて安静にするよりも、 体を動かしたほうが症状が軽くなる可能性が高い。

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特に以下内容は先生のブログでの内容と大きく違うように 思えます。

①重篤な脊椎疾患の兆候がない限り、すべての患者に画像 検査をする必要はない。

②非特異的腰痛は、全体の85%を占めるとの研究があると いう。

③非特異的腰痛は職場での人間関係や仕事量の多さ、仕事 上の不満、うつ状態など心理社会的要因が関与し ている強い証拠がある。

④痛むからといって、画像で原因が分かることは実は多く ない。単に加齢で起きている骨や神経の変化を 画像で患者に示して「だから状態が悪いんだ」と思い込ま せるのは逆効果だ。

これは、先生の治療方針とはかなり違和感を感じますが、 ブログの内容にあるように

「総論的には現レベルの考え方として、その内容は理解で きるものである。」

ということなのでしょうか?

今までの内容と大きく異なり、疑問をもっております。

上記4点のついてお考えをお聞かせください
2013.01.03 14:04
drshujisato
私のブログを見て頂いている方々の誤解を避けるために付け加えます。

今回の指針は慢性腰痛に対する精神的要因の関与を重視したものですが、私が問題にしているのは慢性腰痛を伴う神経機能障害にあるのです。従来の腰痛診療では、この神経障害が適切に扱われてきたとは思えません。

私が目指してきた腰椎手術は痛み共に障害を受けた神経機能と生活の質の回復にあります。神経機能障害の多くは腰椎の解剖学的な構造上の問題を基にして発現しています。だからこそMRIの読影力が必要なのです。MRIから患者の症状の原因に関する充分な情報が引き出せなければ、検査を行う意味はありません。そして、MRI所見から単なる加齢変化と病的変化を区別できる診断力を磨く必要があります。そうでなければ、MRIが誤診の元になるからです。

神経診断学では、精神・心理学的障害と決めつける前に器質的障害を除外することが原則です。腰椎疾患でも同様であり、神経学とMRIを含む神経放射線学を駆使しての診断が必要なのです。もちろん、原因が明らかな単純な腰痛は別ですが。

今回の指針は従来の考え方、治療ではよくできない慢性腰痛をもった患者の存在に光をあて、治療方針を示した点は評価できる。しかし、腰椎の退行変性よる構造的問題による痛みや神経機能障害までもが精神的なものと扱われないよう警鐘を鳴らす必要がある。今回の指針が臨床現場で誤用されないか、これからの腰痛診療に目を光らせる必要がある
2013.01.03 10:16
事実
私が書いた事実とは、学会が調べた多数の事実の事をいっています。私の知る事実ではありません。今回の指針は、根拠に基づく治療を行なうことや、いままでの治療の問題を改善する事も目標ですね。画像診断にたよりすぎることや、まして患者に画像診断で不安を与えることも、指針を策定した先生により指摘されています。
2013.01.03 01:19
drshujisato
残念ですが、私の知る現実は貴方の知る現実とは異なります。この問題を論じてもお互いに時間の無題になりますので、ここまでといたしましょう。
2013.01.03 00:48
現実
痛みの原因を構造の変化に求めていた事が
、客観的に間違ったっていたという事実を認めたと言うことでしょう。認めざろう得ない矛盾を臨床結果が示したと言うことです。限界がきたのは、医師の個人的な考えでの治療では、限界があると言うことです。説明できない矛盾がありすぎたのです。
2013.01.03 00:17

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