他の施設で手術を受け、良くならないために私を受診される患者はこのブログでいつも書くように多い。最近、L4/5の腰椎椎間板ヘルニアでPELDを受けたが、症状の改善は得られず、次第に悪化している患者が術後1年を過ぎて私を受診した。執刀医は自らの診断と手術の誤りに気づいていないのである。この患者では、ヘルニアを摘出してもL5神経根の症状は良くならない脊柱管外側狭窄を認めた。この狭窄が術前のMRIと比べても術後そのまま残存している。これこそがこの患者の下肢痛の原因なのである。手術でやらなければならないことは、L4/5の脊柱管外側部でL5神経根を除圧することである。このような見立ての悪さから、failed back surgery(失敗した腰椎手術)が発生することは今までも繰り返し述べてきた。最新の手術法を駆使できるから名医ではない。的確な診断力が技術力にともなってこそ名医といえるのである。