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昨年の腰部脊柱管狭窄症の手術結果から皆さんに伝えたいこと

.07 2013 脊椎疾患 comment(4) trackback(0)
昨年の腰椎手術263例のうち、脊柱管狭窄症は95例(36%)でした。
年齢と性別は
       30歳代: 2例    男: 2例、女:0例
       40歳代: 6例    男: 4例、女:2例
       50歳代: 7例    男: 4例、女:3例
       60歳代:30例    男:25例、女:5例
       70歳代:40例     男: 24例、女:16例
       80歳代: 8例    男: 5例、女:3例
       90歳代: 2例     男: 0例、女:2例

手術椎間数
      1椎間:44例
      2椎間:45例
      3椎間: 6例

手術椎間(総数151椎間)
L1/2 :  1例   
      L2/3 :  13例
      L3/4 :  34例
      L4/5 :  83例
      L5/S1 : 20例:

合併病変:
     椎間板ヘルニア:    12例
     椎間孔狭窄:      11例
     椎間孔外狭窄:      1例
     椎間関節軟骨ヘルニア: 1例

        それぞれの合併病変に対して処理を行った。椎間孔狭窄に対しては、椎間孔拡大術を施行した。

術中に発生した問題:5例(5%)
     1) 硬膜が破れ、馬尾が脱出したため縫合閉鎖したのは2例
     2) 硬膜から液がもれたのが3例 
   対処法:
1) では、17mmの切開を30mmに広げ、Quadrant開創器を用いて、
    硬膜を広く露出し、馬尾神経を硬膜内に戻して縫合閉鎖した。
     2)では、液の漏れる硬膜の穴をフィブリン糊を用いて閉鎖した。

     硬膜が破れ、馬尾が脱出したのは高度狭窄症例で馬尾弛緩を伴っていた患者であった。いずれの患者も問題を残さず退院した

 手術で症状の悪化した症例はなく、全例で症状と神経機能の改善が得られた。

腰部脊柱管絞窄症の多くは、腰椎症を発生基盤とすることから、加齢に比例して患者は増加する。70歳以上の手術例は50例あり、全体の53%を占めた。80歳以上は10例で11%であった。
私の行うMD法は手術時間が短く、出血量は少ないため、全身麻酔が可能な患者なら、年齢を問わずに行うことが可能である。ただし、高齢者の腰椎は変形が進んでいたり、多椎間に病変がみられたりするため、症状の原因部位を特定することに困難を伴うことが多い。この診断ができなければ、手術で症状を良くすることはできない。

私は、2椎間でも、3椎間でも除圧が必要な患者では、それぞれの部位に小切開を加えて、神経の除圧を行う。1椎間で1時間、2椎間で1時間30分、3椎間で2時間が平均手術時間である。
また、椎間板ヘルニアや椎間孔狭窄や椎間孔外狭窄を合併している患者では、一度の手術ですべての処置を行っている。

手術成績は良好であり、歩行障害の改善が特に良好である。下肢のしびれは患者個々に回復のための時間と程度は異なる。手術までに神経障害が進行していた患者では下肢の末梢にしびれが残ったり、神経障害性の痛みが残ったりする傾向がある。

治療で重要なことは、保存治療に固執し過ぎて、神経障害を進めてしまうと、神経症状の改善は不良になることである。従って、保存治療か、手術治療かの判断は症状の進行程度を見極めて行うことが重要である。

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drshujisato
16/10/12の江藤俊哉さんへ  Re: 脊柱管狭窄手術後4年後に下肢痛が再発

 腰椎変性疾患の再発でしょう。
神経症状(下肢の症状)が改善しないであれば、再手術が必要になります。
ただし、再手術は敬遠されますので、再発手術を積極的に行っている
背椎外科医を選ばれることです。
また、再発に腰椎固定術を行う医師が多いですが、私は固定ではなく、再除圧で良いと考えます。
ただし、再発の元に腰椎のすべり症や不安定腰椎があるのでしたら、固定が必要になることがあります。
再発でも、適切な手術が行われれば、きちっと改善しますのでご安心ください。

FROM SHUJI SATO
2016.10.17 11:55
江藤俊哉
腰部脊柱管狭窄手術後、4年間は全く痛みもなく、ゴルフを盛んにしていました。ところが最近、ゴルフきっかけかどうか、左下肢痛がはじまりました。2ヶ月ほどたちましたが、いまはリリカとリボトリールを飲んでいます。また仙骨神経ブロック注射をペインクリニックで開始しました。このままブロック注射で痛み緩和できればとおもうのですが。57歳です。仕事もしなければならず、痛みもなかなか緩和とはいきません。気分も手術前と同様、暗く不安です。
2016.10.12 19:42
drshujisato
16/06/12の光谷唯視さんへ

狭窄症の術後としては、おかしな経過です。主治医が言われる「こんなことがある」とは、手術しても良くならない、あるいは再発があるという意味と理解したいところです。再手術の必要な状態があるように疑われます。別の医師の意見を求めることも
考えられた方がよいと思います。

それではお大事に。

FROM SHUIJ SATO
2016.06.13 23:43
光谷唯視   71歳
今年3月31日に狭窄手術をしました5月日に退院した10日過ぎに両足にシビレと痛みが出ました6月1か月検診行き先生と話しをしましたがこんな事があると言われショックでした
1週間前から益々痛くなり10メートル歩くと痛くてその場で座ります商売していますまだ先仕事をしなければいけません今後
どうすればいいですか教えて下さい

2016.06.12 10:21

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