腰椎手術失敗例(failed back surgery)の患者さんの受診が増えていることは以前にも触れました。最近の例を紹介します。
70代後半の女性患者は、左坐骨神経痛に対してL4/5の腰椎固定術をある病院で受けられた。しかし、術後も症状の改善がないため5年後に他の病院を受診され、ペディクルスクリュー(俗にボルトと呼ばれる)を除去する手術を受けられた。しかし、症状の改善なく、私の外来を受診された。初回手術から6年以上が経過していた。坐骨神経痛の原因は左L5/S1の椎間孔狭窄であった。このような診断の誤りに基づくfailed back surgeryが多いのである。
別の患者さんは70歳代半ばの女性。腰痛と右下肢痛で100m程度しか歩けないと受診された。それまでに3回、腰部脊柱管狭窄症という診断で手術を他院で受けている。手術はL4/5で固定術が行われ、その後L2-L4の固定術が追加され、その後L2とL3のスクリューは除去されている。症状は右L5神経根の症状であり、その原因はL5/S1の椎間孔狭窄症であった。
このような誤診がfailed back surgeryの原因として多いのです。誤診といっても、標準以上の脊椎外科医でも起こり得るものであり、いわゆる医療ミスの範疇の問題とは質的に異なるものなのです。つまり、正確に診断する方法が未だ確立されていないことに起因する問題なのです。
腰痛・坐骨神経痛で悩むより多くの方に読んでいただきたいと
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