退行変性による腰椎疾患の治療法の選択は医師の判断に基づきますが、その判断のもとになる基準は医師によって異なります。その基準を大きく分けると次の二つになります。
一つ目は、保存治療を基本とし、腰の症状とうまく付き合っていくことを選択する立場です。この立場を支える理論的根拠は、腰椎変性疾患、特に椎間板ヘルニアは自然寛解や治癒の期待のもてる疾患であることです。手術治療はあくまでも保存治療が功を奏さなくなった段階や神経機能障害が進んできた場合の最終手段とします。
二つ目は、生活の質を重視した治療法の選択を行う立場です。発現後、自然回復が期待できる期間である3ヵ月を過ぎても症状が改善へと向かわず、生活に支障を来している場合に生活の早期回復を目的に手術治療を選択します。
これら二つの立場は決してきれいに二分されるものではなく、これらの立場の間には医師による様々な判断基準が存在していると理解すべきなのです。このような医師によって治療法の選択基準が大きく異なることが、患者さんの側から見て最も解りにくい点であろうと思います。
患者さんは医師によって治療法の考え方が大きく異なることを知って、自分が納得できる治療になるよう、担当医とよく話し合われることを勧めます。
私は二つ目の立場をとっており、患者の生活の質が可能な限り早く回復することを重視しています。また、自然治癒の期待を無視すべきでないとも考え、保存治療の効果の判断時期を発症後3ヵ月頃として、良くならない患者さんには手術治療への切り替えを判断しています。
NPO法人日本医師事務作業補助研究会主催の第3回全国大会「テーマは医師事務作業補助者の役割の追求」のご案内
日時: 2013年6月29日(土) 10:00~17:00
場所: 石川県音楽堂 NPO法人日本医師事務作業補助研究会HP
- 関連記事
-
trackbackURL:https://spine.drshujisato.com/tb.php/258-f4a0c19c