以前にも述べたことのあるテーマですが、ブログ相談室に寄せられる質問に未だ多いのがこのテーマに関するものです。
医師はまだ軽いというが患者の症状はつらく長い場合に寄せられるものです。
重症度を判定する基準は二つあります。一つは神経障害の観点であり、残る一つは手術治療の観点です。
先ず、神経障害の観点について説明します:ヘルニアでも狭窄症でも神経の圧迫・絞扼を介して下肢の痛みやしびれなどが起こります。従って、神経障害の程度に比例して患者さんの症状は強く悪くなります。つまり、神経障害の重症度こそが患者さんの苦しみを表す真の指標なのです。この神経障害の重症度はヘルニアの大きさや狭窄症の程度とは必ずしも一致しないので混乱が生じるのです。MRI上、ヘルニアが小さいから軽症だ。狭窄症が軽いから軽症だと通常は判断されますが、これは必ずしも正しくないのです。小さなヘルニアでも神経への影響が大きい場合がありますし、狭窄症の程度は軽くても症状の強いことはいくらでもあるのです。これとは逆に、ヘルニアが大きくても、狭窄症が高度でも症状は軽いことがあります。このようにMRI画像で見られるヘルニアや狭窄症の程度と神経障害の程度は必ずしも一致しないことを認識して、治療を判断することが重要なのです。
次に、手術治療の観点から説明します:一般にヘルニアが大きく、狭窄症が高度であるほど、手術はより困難になる傾向があります。これらは手術治療を行う私ども外科医にとっては、手術の難易度と関連し、手術による合併症の起こりやすさと関係するので外科医をナーバスにする問題なのです。もし、これら大きいヘルニアや高度の狭窄症が強い神経障害を伴っている場合には、より高いリスクを伴う手術になることを知っておく必要があります。つまり、ヘルニアの大きさや狭窄症の程度は手術治療の観点から外科医にとっての「重症度」を意味するもので、患者さんにとっての重症度を必ずしも意味しないのです。
NPO法人日本医師事務作業補助研究会主催の第3回全国大会「テーマは医師事務作業補助者の役割の追求」のご案内
日時: 2013年6月29日(土) 10:00~17:00
場所: 石川県音楽堂 NPO法人日本医師事務作業補助研究会HP
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