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車の修理に劣る腰椎変性疾患の治療

.15 2013 腰椎変性疾患の治療 comment(9) trackback(0)
新車ならそうそう故障は起こらないし、パンクすることもないでしょう。しかし、3年、5年と走り続け、中古車になるにつれ、部品交換が必要になったり故障で修理が必要になったりする頻度が増えていくことには、誰も疑問を感じないはずです。廃車になるまで乗りこなそうと思うなら、その間、故障・修理を繰り返すことが必要なことは誰にとっても想定範囲の事でしょう。車がその寿命がくるまで走り続けられるのは、故障を診断し、修理する方法が確立されているからに外なりません。

それでは、人の身体、特に腰椎ならどうでしょうか。よちよち歩きで始まり、寝たきりになるまでの長きに渡り、腰椎は老化を続けながら重労働をし続けます。その結果として、椎間板や骨が傷み、種々の問題が起こり得ることは、これも充分に予想できることです。
しかし、人の腰椎の故障には車のように、診断法と修理法が確立されているでしょうか。残念ですが、故障の原因さえ特定できないことがしばしば起こるのが腰椎です。原因が特定できなければ適切な治療法などでてくるはずはないのです。車のように何度でも修理して走り続けられる状態を維持することは、腰椎では殆ど不可能と考えられています。

少子高齢化社会が進みゆく中で、ヘルニアや狭窄症などで若い人が労働につけず、同じく高齢者が自立できなくなったら、我が国はどうなるでしょうか。腰椎の問題は、単に個人のみの問題ではなく、社会の大問題でもあるのです。腰椎疾患は発生頻度が最も多い疾患グループの一つですから、診断法と手術法の確立は喫緊の課題です。

私は繰り返す腰椎疾患を何度でも手術で治して、自立した生活へ回復させ続けることがこれからの脊椎外科医の使命と考えています。脊椎外科医の戦場はその使命を果たす場なのです。




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drshujisato
確かに、病院ショッピングのような受診は好ましいとは思いませんが、
腰椎変性疾患の診断や治療が確立されていない現状では、
納得できる医師の説明を求めることは患者の当然の権利と私は思います。
患者の一生の問題になり得る可能性があることですので、
納得できない遠慮は不要と思いますよ。
問題が医師の側にあることも少なくないので、自分自身の問題として
向き合うことです。

2014.05.02 22:39
yukie
お忙しい中ご回答頂き、本当にありがとうございます。
主治医以外の先生のご意見も聞きたかったのですが、セカンドオピニオンを依頼する勇気もなく、同時期に同じ病名での保険診療はいけないことだと聞き、とても悩んでおりました。
佐藤先生のご意見は、とても参考になりました。
佐藤先生には感謝の気持ちでいっぱいで、尊敬しております。ありがとうございました。
2014.05.01 23:47
drshujisato
貴方の画像所見を見ていないので正確なことは言えませんが、腰椎の変形自体に向けた固定術が将来的にどのような意味を持つのか、確立された見解はありません。固定術自体には隣の非固定腰椎への負荷を増大させて、将来的に新たな問題を引き起こす可能性があります。私は、このような固定術は行っておりません。
椎間板性の腰痛の多くは、対症治療で改善に向かいますが、慢性化して長期化するものもあります。このような場合には手術を行うことがあります。その手術とはMD法による椎間板摘出です。これによって腰痛の解消した患者もおります。
2014.05.01 23:16
yukie
ご回答、本当にありがとうございます。大変感謝しております。
椎体がえぐれたように削れているのをみることは少なくないとのことで、安心致しました。削れが痛み原因という説明には疑問がおありになるということは、私の理解不足だったのかもしれません。もう一度、主治医に確認してみます。
固定については、穴を人工骨と自家骨を合わせたもので埋めて、再度削れないようにも、固定が必要。痛みが問題ではなく、骨がボロボロなので、固定して整えたほうが、脊椎全体の悪化を遅らせることができるから、長期的に考えて良い。痛みに関しては、症状の元が手術箇所とは限らないから、症状が改善されるかは、やってみないとわからないとのことでした。
他にも教えて頂きたいことがあるのですが、私の腰痛が椎間板性の腰痛の場合、手術なしにこのまま痛みが改善されていく可能性はありますか?また、先生なら、どのような治療を選択されますか?私の至らない文章のみの情報でのご回答は難しいかと思いますが、ご意見を聞かせて頂けると助かります。何度も申し訳ありません。
2014.05.01 09:07
drshujisato
椎間板が潰れ、その上下の腰椎(椎体)の中心部がえぐれたために起こっている腰痛との説明には疑問があります。そのような腰椎を見ることは少ないことではありません。
症状経過からは、椎間板性の腰痛と思われます。どうして固定術が必要なのか、その理由が不明です。
腰痛の的確な原因分析が必要であり、その結果に基づいて始めて適切な治療法が選択できます。
2014.04.29 23:11
yukie
佐藤先生

初めまして。37歳の主婦です。
お忙しいところ、申し訳ありませんが、先生のご意見を聞かせて頂けると助かります。
15年前、工場で作業中に椎間板ヘルニアを発症し、保存療法で治癒しましたが、その後も何度かぎっくり腰を繰り返していました。以前は、何日か安静にしていると、症状が治まりましたが、3年前に酷く腰を傷めてから、なかなか良くなりません。動けない状態から、30分くらいのウォーキングでは痛まない状態にはなりまりたが、30分じっと座っている又は立ち止まっていると、腰が痛み、辛いです。脚や臀部の痛みはたまにある程度で、主な症状は腰痛です。横になっていると、症状が治まってきます。
MRIの検査の結果、潰れた椎間板の上下の腰椎が削れているので、それが痛みの原因でしょう、という診断でした。潰れた椎間板に面する上下の腰椎の真ん中が、えぐれたように削れています。主治医によると、レーザー手術の弊害で、腰椎がそのようにえぐれている症例は診たことがあるそうですが、私はレーザー治癒を受けたことはありません。他の骨の病気が隠れている場合、MRIの検査でわかりますか?また、腰椎を固定する手術を提案して頂きましたが、隣接障害のことなどを聞き、迷っております。このような状態では、腰椎固定術をするべきでしょうか?よろしくお願いいたします。
2014.04.29 19:48
陸翼
度々の回答、ありがとうございます。
先生のおかげで、精神的な心配がどんどん無くなるので、安心します。

ありがとうございました。
2013.05.18 03:31
drshujisato
回答します。
質問1: 先生が見てきた中で、椎間板ヘルニアや腰椎固定術をしている患者さんたちはどんなお仕事についているのでしょうか?
 回答1:私はその方の元の仕事に戻ってもらうために手術をしています。よほどのことがない限り、ヘルニア摘出でも固定手術でもそのように指導しています。勿論、術後の注意すべき期間は大事を取ってもらいますが。

質問2: 手術をした病院では「事務」仕事を進められましたが、やはり腰椎を手術した人は「事務」系が多いのでしょうか?
 回答2:そんなことはありません。土建業や農業や漁業などの肉体労働への復帰もされています。
>
質問3:固定術をしている人で、プロのスポーツ選手など激しい運動をしている人はいるのでしょうか?
 回答3:今まで、プロの運動選手の手術はてがけていませんが、運動は時期が来れば普通にやってもらっています。

以上、お答えします。主治医の医師は多分、再発を恐れてそのように注意されているのかもしれませんね。それには勿論一理あります。なぜなら、腰椎への負担が増せば増す程、再発するリスクはあがりますからね。私は、再発すれば、再び治せば良いとの考えですので、元の生活への復帰を支援しています。

金沢脳神経外科病院
佐藤 秀次
2013.05.17 16:49
陸翼
何度も質問をして、申し訳ございません。
今回、仕事の事についてのお話だったので、聞きたい事がありまして、質問しました。

先生が見てきた中で、椎間板ヘルニアや腰椎固定術をしている患者さんたちはどんなお仕事についているのでしょうか?
手術をした病院では「事務」仕事を進められましたが、やはり腰椎を手術した人は「事務」系が多いのでしょうか?

また、固定術をしている人で、プロのスポーツ選手など激しい運動をしている人はいるのでしょうか?


よろしくお願いします。

2013.05.17 00:46

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