新車ならそうそう故障は起こらないし、パンクすることもないでしょう。しかし、3年、5年と走り続け、中古車になるにつれ、部品交換が必要になったり故障で修理が必要になったりする頻度が増えていくことには、誰も疑問を感じないはずです。廃車になるまで乗りこなそうと思うなら、その間、故障・修理を繰り返すことが必要なことは誰にとっても想定範囲の事でしょう。車がその寿命がくるまで走り続けられるのは、故障を診断し、修理する方法が確立されているからに外なりません。
それでは、人の身体、特に腰椎ならどうでしょうか。よちよち歩きで始まり、寝たきりになるまでの長きに渡り、腰椎は老化を続けながら重労働をし続けます。その結果として、椎間板や骨が傷み、種々の問題が起こり得ることは、これも充分に予想できることです。
しかし、人の腰椎の故障には車のように、診断法と修理法が確立されているでしょうか。残念ですが、故障の原因さえ特定できないことがしばしば起こるのが腰椎です。原因が特定できなければ適切な治療法などでてくるはずはないのです。車のように何度でも修理して走り続けられる状態を維持することは、腰椎では殆ど不可能と考えられています。
少子高齢化社会が進みゆく中で、ヘルニアや狭窄症などで若い人が労働につけず、同じく高齢者が自立できなくなったら、我が国はどうなるでしょうか。腰椎の問題は、単に個人のみの問題ではなく、社会の大問題でもあるのです。腰椎疾患は発生頻度が最も多い疾患グループの一つですから、診断法と手術法の確立は喫緊の課題です。
私は繰り返す腰椎疾患を何度でも手術で治して、自立した生活へ回復させ続けることがこれからの脊椎外科医の使命と考えています。脊椎外科医の戦場はその使命を果たす場なのです。
NPO法人日本医師事務作業補助研究会主催の第3回全国大会「テーマは医師事務作業補助者の役割の追求」のご案内
日時: 2013年6月29日(土) 10:00~17:00
場所: 石川県音楽堂 NPO法人日本医師事務作業補助研究会HP
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