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腰椎治療難民の悲しい訴え

.17 2013 腰椎変性疾患の治療 comment(1) trackback(0)
 腰椎側彎症、椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、椎間孔狭窄症などの合併が進み、時間と共に悪化し続ける典型的な腰椎変性疾患の患者さんからの質問が寄せられました。この患者さんの質問を読んでいて、旧態依然とした医療の被害者だと思いました。このような自然経過で悪化し続ける患者さんをそのまま放置したような対応しかできない脊椎治療は治療とは言えないでしょう。麻痺がないから、排尿障害がないから、手術の対象ではないと医師から説明されていますが、この患者さんのように日常生活が長期間にわたり破綻している方を救う手だてがないとは脊椎外科医の一人として残念でなりません。手術治療で良くなる可能性があるかを検討する必要があります。確かに、従来の手術治療では良くすることの困難な患者さんではあろうと思います。
次に患者さんの質問を紹介します。

 質問の64歳 女性
H15.5月より右臀部から太股、右下腿外側、甲、親指、足の裏にかけて激痛、痺れあり100mも歩けなくなりMRIにてL3/4・L4/5の椎間板ヘルニアの圧迫による間欠跛行と診断され、理学療法・薬物療法するも効果なし。    H17.5月にL3/4・L4/5のPELDを受けるが3か月経過しても改善されず、仙骨硬膜外ブロックするも効果なし。
H17.9月大学病院を受診、MRI・ミエログラフィー検査でL4/5のヘルニア、13度の側弯あり。H17.9~H19.4月まで一進一退を繰り返しながらの経過観察のみ。しかしどんなに激痛があろうと筋力レベルの低下もなく足も上がるので手術の対象にはならないと一般の整形外科を紹介される。
H19.5月~紹介された整形を受診するも良くならず、H20.1月~臀部から太股の激痛とひきつれ感、腰背部の疼痛、全身のこわばり感、右下腿の冷感、痛みで特に朝が起きれなく、また足の甲・臀部・下腿外側のこむらがえりを繰り返し痛みで夜が眠れなくなる。毎日疼痛箇所が移動し総合病院の整形の痛みの外来を受診。持参したレントゲンを見ただけでリボトリール・モービックを処方され服用。
H20.1~H24.4月まで我慢の範囲の痛みに軽減。
H24.5月、今度は左の腰に激痛あり、真っすぐに立てなくなり、この頃より体を左右に動かすとポキポキと骨の鳴る音がするようになり先生に聞くと別に心配いらないとの事でした
しかし右足と同じ症状になり、MRIで腰椎の3・4・5番の椎間板が殆どなしで脊柱管狭窄症といわれるが、手術は尿がじゃじゃ漏れになってきたりスリッパが脱げてきたら考えると、トラムセット配合錠、ロキソニン、オパルモンの処方のみであった。今年2月左の腰や背中に痛みが出て、ウエストは非対称になり背がとても低くなったように感じたのでレントゲンを撮って欲しいと言って撮ると、今度は2・3・4・5番に大きな側弯あり、腰部変性側弯だといわれ、手術は出来ないとの事です。長い期間通院しながらこのようになるまで薬物療法のみで、何が本当なのか分からなくなっています。
この先とても不安で一杯なのですが、良い治療法はないのでしょうか?
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drshujisato
メールが送信できませんでしたので、ここで回答します。

質問1:このまま経過観察していてもいいのでしょうか。どうしたらよいのでしょう。


  回答:半年以上の経過で下肢のしびれや歩行障害が進んでいるのなら、このまま経過観察ではいけないと思     います。先ず、正確な原因診断を他の病院で受けることです。

質問2:しびれも出てきたということは、神経障害が進んでいるということでしょうか。 


  回答:必ずしも障害とは言えませんが、神経に対する圧迫の影響は進んでいると考えた方が良いでしょう。

質問3:40代での発症は、後々どうなる傾向がありますか。


 回答:年齢だけではなく、現在の経過自体が問題と思います。次第に症状が悪化しているのでしたら

    その傾向が続く危険性があると思います。


質問4:先生のご診断を受けに参りたいのですが、できますか。


 回答:勿論できますが、予約がかなり混んでいます。予約は本院の医療秘書室が行っていますので

     問い合わせてみてください。


それでは、お大事に。
2013.05.25 23:26

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