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症状の改善・悪化を繰り返しながら進行する腰部脊柱管狭窄症

.28 2013 腰部脊柱管狭窄症 comment(3) trackback(0)
今回手術を行ったのは71歳女性。
2010年7月に両下肢のしびれと痛み、立位や歩行が困難になり受診された。MRIではL4/5に進んだ脊柱管狭窄症を認め、手術予定とした。
しかし、手術予定日までの間に下肢の症状は改善し、日常生活に支障がなくなったため
手術を中止。

ところが、2012年12月頃から再び、両下肢のしびれと痛みが発現するようになり、前回よりも程度は強くなった。プロレナールやリリカが処方されたが効果なく、立位・歩行障害も進行し始めた。

再検したMRIでは、脊柱管狭窄の程度は強くなっていた。そのため、再度手術を予定した。

2013年8月の手術までの間、下肢の痛みやしびれは持続し、歩行障害も続いた。
手術は、MD法により正中右側から直径16mmのチューブレトレクターを挿入し、手術顕微鏡下に両側のL5神経根と馬尾神経を除圧した。両側L5神経根の拘扼は高度であった。
手術所用時間は50分、出血量は10mlであった。手術時間が短いのが私の手術の特徴の一つであり、そのような手術法へと改良を進めた。

麻酔から覚めた後の患者さんの言葉は、「痛みもしびれも感じません。嘘のようです。」

骨としての問題である脊柱管狭窄が進んでいても、拘扼されている神経が良好な回復性を残している患者さんでは、神経除圧によって下肢の症状は速やかに解消することがある。この患者さんの症状の解消の仕方はこのことを示している。
通常、神経の障害が進んでいる患者さんでは、術後すぐには立位や歩行はしやすくなるが、下肢のしびれや痛みが軽減するには時間を要するのが普通です。

いつも書くように、手術治療のタイミングは症状の術後回復に大きく関係する。といっても、早すぎる必要はない。そのタイミングを見極める目が脊椎外科医に必要です。

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佐藤
ありがとうございます。
いろいろ調べ過ぎると不安感が強くなるだけのようですね。
正しく手術すれば治ると信じるようにします。
2013.09.07 14:26
drshujisato
ご紹介のサイトもそうですが、とにかく色々な説、珍説を含めて世の中にはあふれています。素人の方は混乱するばかりでしょう。腰椎椎間板ヘルニアによる痛みなら、手術で治せます。これが1000例を超える腰椎椎間板の手術経験からの結論です。ただし、神経根の障害が進んでしまっていると、痛みやしびれが残ることがあるのは神経障害の後遺症として当然のことです。ヘルニアの手術はなかなか難しいものもありますので、手術が不完全に終わる場合が少なくないでしょう。そのため、誰もが同じ結果を出せるわけではないのです。従って、確かな技術をもった脊椎外科医の手術を受けるべきです。不完全手術で良くならない患者をとりあげ、手術治療は無効という人たちは自説を有利にするために利用しているに過ぎません。私の外来は、ヘルニアの手術を受けた患者の口コミで受診を希望する人が後を絶ちません。それらの中には様々な治療を長く受けた末に私を受診される方々が多いです。説はあくまでも説です。私は手術治療の効果を多数の手術で証明してきました。繰り返しますが、脊椎外科医の力次第ですので、外科医の選択は慎重に行ってください。

佐藤秀次
2013.09.06 22:28
佐藤
何度かここで質問させていただいてます。
今でも不安なのが手術すれば治るのかどうか?です。
以前にもサイトをここに貼り付けましたが気になって仕方ありません。
私も周りでも手術しても治らない人がいるという話を聞くとすごく不安になります。

医学的にヘルニアや狭窄症が痛みの原因ではないと言い切る医師がいることがどうしても気になります。
医学的知識がない患者にとっては何を信じたらいいのかわかりません。

手術をたくさんしてこられた先生の意見を聞きたいです。
よろしくお願いします。

http://www.tvk.ne.jp/~junkamo/new_page_211.htm

↑上記のサイトを読むと不安になります。
2013.09.06 17:41

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