私が考える最小侵襲手術の条件は
1)組織破壊が少ないこと:すなわち、皮膚切開は小さく、筋肉などの軟部組織傷害も少ない。その結果、術後の痛みが軽く済むため、鎮痛剤の必要性は著しく減少します。痛みが軽いことから、翌日の離床と早期退院が可能になります。
2)手術時間が短いこと:その結果、麻酔時間が短縮されるとともに呼吸器合併症や深部静脈血栓症などの合併症が防止できます。勿論、それなりの防止策を併せて講じる必要はあります。
3)出血量が少ないこと:それによって、術中の補液量は少なく済み、輸血は不要のため、心血管系への負担が少なく、心臓合併症が防止できます。
以上の三つの条件がそろうことによって、手術は3000例を超えますが感染症や心臓・呼吸器合併症などは殆ど皆無です。このような最小侵襲手術だからこそ、80代、90代の超高齢者の腰椎手術が安全になるのです。
高齢者の腰椎手術は合併症が起こりやすく、入院中の認知症の悪化も問題になるところです。その点、最小侵襲手術は早期離床と退院ができますので、認知症の悪化を防止することもできます。
MD法は全てのタイプの椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症に対応できる手術です。しかし、技術習得には長い時間が必要であり、国内ではまだまだ普及していないのが現状です。私はMD法を習得することを望む脊椎外科医に対する支援を色々な形で行っていきたいと考えています。
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