下に示した図は腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症の術後に症状がどのように変化していくかを表しています。
神経障害がある患者は赤線、神経障害がない患者は青線で示してあります。
縦軸は症状の程度の目安であり、横軸は術後日数を示します。
手術~術後2日間は神経の除圧効果による症状改善期、術後2~7日間は手術後に起こる炎症期で痛みが強くなる時期(その程度は個々で異なります)、術後7~14日間は炎症消退期で術後強くなった痛みが再び引いていく時期、術後14日から6ヵ月は神経障害の回復期に当たります。
術前神経障害のない患者(青線)は神経根の圧迫・拘扼のみによる症状のため、症状は手術翌日までに著しい改善を示します。激痛を含め下肢の症状が殆ど消失することが普通に見られます。しかし、術後2日目頃から7日目頃までは炎症による痛みが発現・増強しますが、それも2週間までには消失していきます。すなわち、術前に神経障害の進んでない患者では症状の消失が良好に得られます。
一方、神経障害が進んでいる患者(赤線)では、術後2日間は神経除圧により症状改善が得られますが、神経障害による症状は残ります。つまり、除圧効果による症状改善は不十分となります。具体的には下肢の痛みは軽減するものの、痛みやしびれは残存します。これらの残存症状は術後2~7日の炎症期に再び増強します。そして、7日以降は炎症が終息するに合わせて症状の改善が得られます。しかし、神経障害による下肢の痛みやしびれが本格的に回復を迎えるのは術後14日頃からであり、時間をかけながら、少しずつ改善は進みますが、しびれなどが消失するには6ヵ月以上かかることも少なくありません。患者によっては、しびれが残ることもあります。
これらのことが示すのは術前の神経障害がどこまで進んでいたかによって、術後の症状回復は大きく異なることです。どんなに良い手術が行われても、神経障害が進んでしまった患者では、術後の症状回復にはより長い時間が必要となり、かつ不完全に終わることが少なくありません。
手術を行うタイミングが重要であることを知って頂きたい。

腰痛・坐骨神経痛で悩むより多くの方に読んでいただきたいと
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