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生きている間、何度でも襲ってくる腰椎変性疾患に立ち向かう勇気を持て!

.23 2013 脊椎疾患 comment(2) trackback(0)
75歳女性が他院でL4/5のヘルニア手術を受け、その後再発があり、私は再発ヘルニアに対してMD法でヘルニア摘出を行いました。その後は調子が良かったのですが、昨年、両側の坐骨神経痛と間欠性跛行が再発しました。腰椎は側湾変形が強く、骨のねじれ(回旋)もありました。3度目であり、腰椎症性の脊柱管狭窄と椎間孔狭窄が強いため、神経根除圧と腰椎固定術を行いました。
腰椎固定術は、O-ARM(CTのように術中に3D画像が撮影できる最新機器)とナビゲーションを用いて行いました。O-ARMは全国でまだ10台くらいの導入状況です。
最初の画像は術前の腰椎の状態を示します。

腰椎症性側彎症+椎間孔狭窄の固定術 1

腰椎固定術は、チューブレトレクターを用いた最小侵襲法で行いました。輸血は不要の手術です。
4腰椎症性側彎症+椎間孔狭窄の固定術 

O-armを用いた術中の3D画像が手術の安全性を高めます。
2腰椎症性側彎症+椎間孔狭窄の固定術 


腰椎の側彎変形・回旋が強いため、スクリューは左右上下で非対称極まりない状態で入っています。
私は腰の真ん中を大きく切開するのではなく、真ん中から40~50mm外方に切開を加え、
TLIFという椎体間固定を行います。各スクリューをロッドと呼ばれる棒でつなぎ止めます。
32腰椎症性側彎症+椎間孔狭窄の固定術 

私がブログで繰り返し述べてきたように、腰椎変性疾患は何度でも手術が出来なければいけないと考えています。この患者は3度目の手術で固定を行いましたが、今回は神経除圧術のみでは対処不能と判断し、固定術を選択しました。しかし、固定されていない部位で、さらに問題が起こることがあり得ます。もし、起こった問題に対して手術が必要であり、患者に手術のできる身体の条件があるのなら、私は手術を行う決断をするでしょう。

腰椎変性疾患は一生涯にわたって、患者に問題を起こす危険性をもった疾患なのです。
私たち脊椎外科医は何度でも患者の良くなる可能性を追求することが必要です。

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drshujisato
15/06/19のC.Kさんへ  Re: 一度ならずも二度、三度…これからも向き合う強さはどこから?

腰椎変性疾患は患者さんによっては、何度も発病することがあります。
私が最近固定術を行った腰椎疾患の70代の患者さんは、今回が6度目の手術になりました。過去にヘルニア摘出術を3度行い、腰椎固定術を一度行い、その後、固定隣接椎間に椎間孔狭窄症が起こり、それに対する除圧術を行い、今回は抜釘術と新たな腰椎固定術を行いました。各手術ごとに症状の改善を得て、生活復帰していました。今回も経過良好です。このように患者さんによっては、何度も病気を繰り返すことがありますが、大事なことは何度でも治すことができることであり、治せなければならないことだと私は考えています。そのためにも、患者さん自身が生活復帰への強い意志を持つことが必要です。良くできる可能性がある限り、諦めてはなりません。腰椎変性疾患を起こしやすい体質があっても、克服へ向けて戦って欲しいと思います。私はそのお手伝いをさせて頂きます。

頑張ってください。

FROM SHUJI SATO
2015.06.22 20:34
C、K
良くなると思って受けた手術、3ヶ月後には車の運転もできるよ、仕事復帰で重労働もできるようになるとの説明、まさかボルト固定をして説明を信じて治るのであればとかけた手術でしたが術後からおかしな異変を感じてました。手術をしたらもうお願いだからこれ以上腰椎変性を持ってるからまた遅い来るなんて神様は不公平です、与えられた試練?だと言われたことがあります。固定手術がいかに患者の大きな負担となるのかボルトで固定され身体の制限がかかります。今までの動きを取り戻せるにはリハビリでそこに近いくらいまで身体が動かせるなら希望もあります。自分の頑張り次第なんですよね。医者は手術したから成功させたのだからと後は私知らない!みたいな態度をとられる方もいます。佐藤先生のように最後まで患者を支え安心させてくれる治療後のケアもありがたいことです。それだけでも不安材料がとれ安心するのです。私たちは無力です、だけど希望を捨てずに生きていたいから術後の痛みや痺れ不自由な身体から解放されたいから怖くても再手術に望みを託したいと  私は幸運にも佐藤先生にめぐりあうことができました。自分で道を開いていかないと術後からの苦しみから抜け出せないままなのです 私自身今回たくさんのことを学びました。ただ腰椎変性疾患をもった患者は何度でも襲ってくるというこの悲しく辛い言葉は受け止めがたいなとおもいました 
2015.06.19 20:23

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