頚椎椎間板ヘルには頚椎5番と6番( C5/6)と頚椎6番と7番(C6/7)の椎間板に好発します。軽いヘルニアでは、後頚部や肩甲部の痛みとして自覚されます。比較的急にこれらの部位に痛みが発現し、持続する場合には椎間板ヘルニアが疑われます。特に、首を前に曲げたり、反らしたりで増強する痛みの場合はヘルニアによる痛みの可能性が高くなります。
頚椎椎間板ヘルニアは大きく三つのタイプに分けられます。一つ目は脊柱管の中心部に起こるタイプ、二つ目は脊柱管の外側部に起こるタイプ、三つ目は椎間孔に起こるタイプです。
脊柱管中心部のヘルニアは脊髄を圧迫し、脊柱管外側部のヘルニアは脊髄と神経根の両方を圧迫します。ただし、脊柱管外側部のヘルニアは脊髄のみを圧迫する場合と神経根のみを圧迫する場合があります。椎間孔のヘルニアは神経根を圧迫します。
脊髄のみの圧迫では、両方の手指や前腕(腕)、上腕(二の腕)などにビリビリしたしびれが発現します。手指の使いがうまくいかなくなる場合や両足にもしびれが発現し、歩きにくくなる場合もあります。脊髄のみの圧迫では、いわゆる激痛に泣くような痛みにはなりません。そのため病院への受診が遅れることが少なくありません。
神経根のみの圧迫では、通常は片方の二の腕や腕に激痛が起こります。肩甲部の痛みも伴うことが多いです。首の動きで痛みが増強し、痛みの強い時期には睡眠を障害され、生活の支障が大きくなります。神経根の障害が進むと、腕や手指にしびれや脱力が起こるようになります。脊髄の場合もそうですが、異常な冷感を伴うこともあります。
このように脊髄と神経根では起こる症状が異なります。激痛になる神経根の圧迫は、上記したように脊柱管外側部と椎間孔の両方で起こるのです。
頚椎ヘルニアの診断は腰椎ヘルニアと同様にMRIが最も優れています。MRIで三つの部位のヘルニアが正確に診断できますが、椎間孔内のヘルニアは見落とされる場合がありますので注意が必要です。
上記したような特徴を持った激痛が二の腕や腕にあるにも関わらず、MRIでヘルニアはありませんと診断された場合には、ヘルニアの見落としを疑う必要があります。
昔から頚椎のレントゲン撮影で「ヘルニアが原因でしょう」と診断されてきましたが、レントゲン撮影ではヘルニアの診断はできないことを知っておきましょう。
ヘルニアの治療については次回説明します。
腰痛・坐骨神経痛で悩むより多くの方に読んでいただきたいと
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