色々と重なり、ブログ更新ができないでいました。
腰椎変性疾患(ヘルニアや狭窄症、辷り症など)の治療方針で悩む方々が多いので、治療を考える上で重要な事項を列記します。
1) ヘルニアや狭窄症、辷り症などはあくまでも神経を圧迫・障害して症状を出すのであり、神経を障害しない限り持続する下肢の痛みやしびれ、歩行障害を起こすことはありません。ただし、腰痛は神経を障害しない段階でも発現し得る症状です。
2) 腰椎変性疾患による症状は悪化・改善を繰り返すことが普通ですが、繰り返すことによって症状は段々と悪化傾向を示し、難治性になります。
3) 手術以外の治療、すなわち保存治療は基本的に症状軽減療法であり、その治療自体が症状の原因を根本的に取り除くものではありません。病気が進行すると、保存治療は次第に効果を失っていきます。
4) 手術治療をどのような場合に考える必要があるかと言うと、痛みやしびれ、歩行障害などが3ヵ月を過ぎても改善せず、日常生活の質の低下を招く場合と薬物治療や理学療法、ブロックなどを行っても痛みが持続する場合があげられます。いづれにしても、生活の質の障害を遷延させないことが重要であり、手術治療は根本的に原因を除去できることから劇的な効果を示します。
5) 外科治療で出来ることは椎間板や骨の病的状態を修復することであり、障害を受けている神経それ自体を治せるわけではありません。障害を受けた神経の回復は神経の自力回復によるものであり、患者個々で定まった回復程度があります。つまり、ある患者では後遺症を残さず完治することがあれば、ある患者では後遺症を残すことになります。同じ病気、同じ手術治療で、手術が成功しても、治り方はそれぞれなのです
6) 再発を恐れ、手術を受けることを躊躇する患者がいますが、腰椎の老化が進む中で再発は充分に起こり得るものと覚悟する必要があります。しかし、手術はあくまでも現在ある症状の改善に向けるものであり、将来までを保証するものではありません。医療技術が進化したことで、再発を恐れる必要はなく、再発したらまた治せば良いのです。
7) 手術治療の安全性は飛躍的に向上し、かってから行われてきた手術によって最悪、車いす生活になるかもしれないと言った術前説明は殆ど意味を成さなくなっています。私は3000例以上の腰椎手術を行っていますが、手術で車椅子になった患者を経験していません。
8) とにかく、腰椎疾患に関しては、医師によって診断が違ったり、手術適応が異なったり、手術法が異なることが少なくありません。専門医だから、指導医だからと言って安心と言うことは必ずしもありません。最後は経験に裏付けされた医師次第です。
9) 腰椎変性疾患には数えられないほどの治療法が巷には流布しています。ということは病気の本質を見極めた原因治療は未だ行われていないことが多いということを暗示しています。無駄な治療にお金と時間を使わないで済むよう、啓蒙活動が必要です。
10) 腰椎変性疾患は最終的には手術で治せる病気です。これが私が最終的にたどり着いた結論です。
腰痛・坐骨神経痛で悩むより多くの方に読んでいただきたいと
思っております。1日1クリックずつ応援お願いいたします。

- 関連記事
-
trackbackURL:https://spine.drshujisato.com/tb.php/285-002726c9