fc2ブログ

手術は成功、しかし結果は悪く不満足の起こりやすい腰椎変性疾患

.26 2013 failed back surgery syndrome comment(9) trackback(0)
腰椎疾患の治療の難しさは、先ず、その原因診断の難しさにあることは、このブログでも繰り返し述べてきたことです。診断が正しくないと、いかに優れた技術を持った医師による手術を受けても、患者さんの症状の改善は得られません。

最近、右腰椎5番の神経根症状の患者さんが他県で、腰椎3番から5番までの固定術を含め2度までの手術を受けられたが、症状の改善がないと受診されました。腰椎固定は完成しており、固定術としては成功しているかに見えます。では、なぜ患者さんの下肢の症状は改善しなかったのか。

その原因を調べて解ったことは、腰椎5番の神経根の症状は腰椎5番と仙椎1番(L5/S1)の椎間孔狭窄により発生していたのです。
この患者さんでは、固定金属はそのままにして、右のL5/S1の椎間孔拡大術を小切開によるMD法で行いました。術中所見として、L5神経根は椎間孔内で強く拘扼されていました。周囲との癒着も強く認めました。神経根の動きが得られるまで充分に剥離・除圧しました。
術後、患者さんの下肢の症状は改善に向かい、歩行はしやすくなっています。しびれの解消には時間が必要と思います。

この患者さんでは、症状の原因がL3~L5の脊柱管内にあると疑われ、最初の除圧術で症状の改善が得られなかったため、固定術が追加されたようです。しかし、それにも関わらず症状の改善は得られなかったのです。

その原因はL5/S1の椎間孔にあったからです。すなわち、二度にわたる手術は患者の症状とは直接関係ない部位で行われていたのです。

このような手術技術自体はよくても、結果の悪い手術になることは少なくありません。特に、腰椎において多く見られます。

このような不幸な結果が起こるのは、腰椎疾患の原因診断がいかに困難であるかに基づいているのです。
手術の成功=症状の改善では必ずしもないことが腰椎変性疾患の特徴にさえなっているのが現状です。

正確な原因診断、これが手術成功への第1歩であることも繰り返し述べてきました。

腰痛・坐骨神経痛で悩むより多くの方に読んでいただきたいと
思っております。1日1クリックずつ応援お願いいたします。

1245_32.png 1245_32.png にほんブログ村 健康ブログ 腰痛・ギックリ腰へ

関連記事

drshujisato
術後、症状の悪化があり、担当医は問題ないはずとのことですので、現在の医療機関ではそれ以上の原因追及は難しいかも知れませんね。症状のつらい状態が続くのであれば、別の専門医の意見を求めることを検討されてはどうでしょうか。他に原因があると思われま。高齢者の腰椎の診断は一般に困難なことが多いです。
2013.12.09 10:15
なかぎり
佐藤様

お忙しいところ
早速のご回答ありがとうございます。

病名とどのような手術をしたかは
私ではわからずこのような質問をし
申し訳ございません。

ただ手術前は歩くことができて
長時間歩いたり無理をすると
足の付け根あたりがしびれ痛みが出ると
言っておりました。
その際はしばらく休むなどすればまた歩けるようになっていました。

1回目の手術(11月29日)で開いた時は
圧迫が思ったいたよりひどく
2箇所削ったと聞いています。

その後は痛みがひどく
歩くのはもちろんじっとしていても
痛いらしく痛み止めの注射が聞いている間だけおちつき切れると痛がります。

本日(12月5日)再手術をし、
開いたところ削った部分が空洞になり
神経が潜り込んだためと聞きました。

術後しばらくはまっしになったと言っていましたが
急に痛がり始め足の付け根が痛いそうです。
痛み止めで1時間ほど寝ていましたが
目が覚めたとたん痛みが耐えられないそうです。

医師にはもう問題はないはずと言われました。

ちなみに祖父は、85歳です。
2013.12.05 23:38
drshujisato
どんな腰の病気で、どんな手術を受けられたのかが不明ですので、どうお答えしたらよいか
わかりませんが、いづれにしても、通常の術後経過でないことは確かです。
術前の症状が術後どうなったのかも不明ですので、術前症状を含め具体的に書いていただくと判断がしやすくなります。

佐藤秀次
2013.12.05 23:02
なかぎり
突然のコメント失礼いたします。

私の祖父が先週腰の手術をうけ、
年のため筋が堅くなり神経を圧迫しているため
それを取り除いたと医師からは説明がありました。
手術後痛みに耐えられず暴れるほどで
本日再手術をしました。
削ったところが空洞になり
そこに神経が潜り込むかたちになり痛みが強く出たとのことで
今度はそんなことはないと言われました。
ですが、手術から数時間後また痛みで暴れだしてしまいました。
持病で糖尿病を抱え心筋梗塞で8ほんのステンが入っています。
足の付け根が痛いらしく動かすのはもちろん触れても痛いそうです。
術後こういうことはあることなんでしょうか?
医師からは簡単な手術で完全に痛みは取れないが改善はされるだろうと聞いています。
2013.12.05 22:28
drshujisato
中学生の頃から、腰痛があったとすると分離症がないか気になるところです。その頃からヘルニアのみを持つ人もいますので、いずれにしても経過が長引いていますね。腰に関しては、筋力低下もでているのであれば、手術治療も視野においた方が良いのかも知れません。手術が必要か否かの判断は難しいことが多いですが、神経障害が進んできたり、生活が困難になってきているのであれば、手術を検討することが必要と思います。頚椎に関しては、症状が具体的には解りませんので、コメントを控えます。
2013.12.02 22:05
中田
自分は現在腰椎及び頸椎椎間板ヘルニアで悩んでいます
腰椎については骨盤と第五の間に、頸椎については第六と第七の間が悪いようです

頸椎については最近悪くなってきた感じですが
腰椎については病院にかかったのがつい最近と言うだけで
中学生の頃から(8年ほど前)から症状が出たりよくなったりを繰り返しています
とくにこの1、2年は症状が強く出ていると思います
痛みのないときは普通に生活することは出来るのですが
何かの弾みで痛みがでると、痛みにともなって臀部、外もも、膝上、すね、足のこうくらいにビリビリと痺れを感じます
左足には筋力低下も出ているとのことです

思いきって手術をするべきなのか
保存治療でなんとかなるのか……
いまの状態よりもし悪くなった場合
保存治療でうまくいかず手術をしてもそのときには
神経がもう回復してくれない状態だった場合
などを考えると不安です


ちなみに21歳の自衛官です
2013.12.02 19:04
-
このコメントは管理者の承認待ちです
2013.12.01 08:49
drshujisato
多くの患者さんは腰椎のどこか1箇所の問題で症状が発現していますが、高齢になるにつれて複数の場所で神経が障害を受けることが多くなります。複数の部位にヘルニアや狭窄がある場合に、どれか一つ、或いは二つが症状の原因であるのか、それとも、二つ以上の部位が関係しているのかの診断は大変難しく、ピンポイントに絞り込むことには相当の経験がなければ困難と思います。私自身が診断に試行錯誤していた時代がありますので、その困難さをよく理解してます。かなり経験を積まないと絞り込むための理論を理解しても、実践するとなるとなかなかそうは簡単にいかないと思います。腰椎疾患の正確な診断に基づく低侵襲手術が確立されるにはまだ時間がかなり必用であろうと考えています。、
2013.11.26 22:56
佐藤
お世話になります。

診断の難しさは先生のブログを読んで知りました。
今回の記事のような結果は患者としては避けたいことですし
診断が困難であればるほど医師を責めることもできません。
例えばの話ですが画像所見で3箇所に異常が見られた場合。


(1)3箇所のうち痛みの原因は1ヶ所
(2)3箇所のうち痛みの原因は2ヶ所
(3)3ヶ所のうち痛みの原因は3ヶ所全部

素人感覚ですが手術をやってみないとわからないものでしょうか?
それとも、とりあえず考えらる場所全てにアプローチするんでしょうか?
経験を積んだ医師であればピンポイントでアプローチできて、腕の未熟な外科医では原因特定がそもそも困難なのでしょうか?

もちろん患者としてはピンポイントで低浸襲でやってもらえることが一番の望みですけど。


2013.11.26 14:16

  • comment
  • secret
  • 管理者にだけ表示を許可する

trackbackURL:https://spine.drshujisato.com/tb.php/287-2b7114d4