腰ヘルニアになった患者さんが医師から腹筋・背筋を鍛えなければだめですよ。運動が必要です。と言われて、歩行やストレッチ、はたまたヨガなどに汗を流し、その挙げ句に痛みで腰が伸びなくなった、痛みが却って強くなったと何が何だかわらないといった困り顔で私の外来を受診される患者さんが少なくありません。どうして、ヘルニアによる急性期の痛みに運動が治療になるのでしょう。ヘルニアの急性期には、局所の痛みを感じる神経が炎症を起こして過敏な状態になっているのです。運動は局所の炎症を強め、もっと強い痛みを起こすことになることは、医学的に当然なことと私は思います。このことを分かり易く例えるならば、捻挫して痛く腫れ上がった足首を動かしなさい、治るからと言っていることと同じなんですよ。急性の痛みは炎症が痛みの原因になっているので、局所の安静が何よりも必要なのです。運動は厳禁と考えるべきです。このことを別の例で説明しますと、腰ヘルニアで医師から鎮痛剤を処方してもらい、飲んでいるが、ちっとも効かないと不満を漏らす患者さんも多く見られます。私は、安静にしていますか?仕事などで動き回っていませんか?と尋ねます。すると、仕事がありますから、安静などとれませんよ、と殆どの患者さんは答えます。予想通りの答えです。これに対して、私は安静を取らない限り痛み止めは効きませんよ。虫歯の痛みで、鎮痛剤を飲み、その虫歯で物をかむ人はいないでしょう。動いていると痛みを起こす仕組みの方が痛みを制する薬に勝ってしまうのです。患者さんは納得です。へルニアの急性期に腹筋・背筋を鍛えなきゃだめだ、動かさなきゃだめだという方々には注意しましょう。しかし、運動療法は腰ヘルニアの再発防止には必要です。次の機会に説明いたしましょう。

↑ 腰痛・坐骨神経痛で悩むより多くの方に読んで
いただきたいと思っております。
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