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神経除圧術か腰椎固定術か、その判断をどうつけるのか?

.12 2014 脊椎疾患 comment(0) trackback(0)
 今回、L4/5の腰部脊柱管狭窄症で椎弓切除術を受け、その後、腰椎すべり症が発生し症状が再発した患者さんからの相談がありました。このような場合にどう考え、どう対処すべきか私見を述べさせて頂きます。

 この患者さんでは、術前からl4/5に脊柱管狭窄症と腰椎不安定性があったようです。このように腰椎不安定性があり、脊柱管狭窄症のある患者さんで、古典的な手術法である椎弓切除術が行われると、術後にすべりや不安定性の悪化が起こる可能性は高いと思われます。この問題は患者さんの年齢やその他の条件によって、受ける影響の程度は異なります。

 神経除圧術では、できるだけ腰椎構造を壊さないで神経除圧を行うのが低侵襲除圧術です。しかし、私のやる最小侵襲除圧術でも、すべり症の発生する患者さんは少ないですがおりますので、これを完全に防止することは不可能と思いますし、除圧術のある種、限界と思います。。


 腰椎すべり症で固定術を行った場合に隣の椎間(隣接椎間)に不安定性やすべり症、狭窄症、椎間板ヘルニアなどが発現しやすくなると言われている問題ですが、確かにその問題はあります。そのために再手術が必要になる患者もおられます。これは固定術の欠点とされていますが、これがために固定術を行うべきではない、避けるべきとの考えは間違いと思います。これらの問題がもし将来起これば次の手術的な対応ができるからです。固定術後の再手術は確かに困難を伴いますが、適切に行われれば良い結果を出すことができるというのが私の経験からの結論です。従って、固定術後の隣接椎間の問題は決定的に不利な問題と私は考えていません。大事なことは現在患者を苦しめている問題をきちっと治すことであり、そのために固定術が必要なら、そうすべきだと思います。

 低侵襲腰椎固定術後の患者さんの術後経過は全体に良好です。ただし、何度も手術を受けてこられ。腰痛が長引いたり、神経障害が進んだ患者さんや側彎変形の進んだ患者さんでは腰痛や下肢の痛み・しびれが残る方がおりますので、最初の手術法の選択が大事と私は考えています。

 腰椎固定術後の活動性に関しては、固定が完成すれば、通常は術後半年くらいから徐々に制限のない生活へと移行することを指導しています。運動も勿論okayです。ただし、70歳以上の女性で固定術を行った方では、より慎重な対応を勧めています。骨粗鬆症が進んでいる方が多いためです。

 腰椎固定術は最後の手段であるのかという質問があります。これに対する私の答えは、椎間板ヘルニアや狭窄症などに対する神経除圧術後の再発で、これ以上除圧法を繰り返すことによて、症状の改善を図ることは困難と判断された場合には最後の手段として私も固定術を行います。

 一方、変性すべり症や分離辷り症、側彎変形症などでは、最初から神経除圧と固定術を行うことを原則としています。また、神経除圧のために骨を大きく削り取る方では術後のすべり症や側彎症の発生の防止のため固定を同時に行います。これらは基本方針であって、勿論、患者個々の病態と条件を考慮して最終判断しています。

 つまり、腰椎固定術は腰椎変性疾患の種類と骨の状態、身体的な条件などに応じて、最後の治療手段であったり、最初からの治療手段であったりするのです。

 以上の考え方は、あくまでも私の経験に基づく私見であり、すべてが脊椎専門医に同意されているわけではないことをお断りします。

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