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腰椎固定術後も症状の改善が得られず、再々手術を必用とした高齢女性

.04 2014 腰椎椎間孔狭窄 comment(3) trackback(0)
 県外の79歳の女性が7年前に腰部脊柱管狭窄症に対してL4/5の腰椎固定術を地元で受けられた。しかし、術後も腰痛と坐骨神経痛の改善が得られなかった。次第に症状の悪化があり、3年前にボルと(ペディクルスクリュー)の抜去術を他の病院で受けられた。それでも症状の改善はなく、3ヵ月に1度の通院治療を続けておられた。
 
 その患者さんが私の外来を受診されたのは昨年の4月であった。症状として、左腰部の痛みと大腿・下腿の痛みとしびれを認め、痛みが増強するため立位を保てない、短距離しか歩けない、長くは座っていられないという状態であった。
 左母趾と足関節の背屈力低下を認め、L5神経根領域(下腿外側部から足背)に知覚障害を認めた。

 画像検査では、L4/5で腰椎固定が完成しており、スクリューの抜去後の所見を認めた。脊柱管内には特に問題はみられないが、左のL5/S1の椎間孔に高度狭窄を認めた。

 このL5/S1の椎間孔狭窄による左L5神経根症状と診断した。手術が決定してから9ヵ月間待っていただき、この度、最小侵襲手術で、L5/S1の左の椎間関節を削除してL5神経根を除圧し、L5/S1で椎体間固定(TLIF)とペディクルスクリュー固定を行った。左L5神経根は椎間孔内で強く拘扼され変形していた。手術は予定通りに終了した。

 翌日から離床開始し、術後1週間であるが、創部に軽い痛みはあるが、歩行障害は改善しリハビリ中である。元々の臀部から下肢の痛みは消失した。下腿部にはまだ違和感は残るが、痛みのない生活に復帰する日は近いだろう。

 この患者さんでは、もともとが椎間孔狭窄で発症した疑いがある。最初の診断の腰部脊柱管狭窄症については、先の手術で解消されているが、症状の改善の得られなかった理由は、原因が椎間孔狭窄にあったためと推測される。

 腰椎変性疾患では、このような問題が起こりやすい。特に、高齢者では腰椎の変性変形が強いため、どこに症状の原因があるのかを診断することが難しいからである。しかし、原因を正確に捉えたなら、高齢者でも良好な手術成績が得られるという良い見本といえよう。


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佐藤
ありがとうございます。
参考になりました。

2014.02.16 19:58
drshujisato
頸椎と腰椎の同時手術の件ですね。
 原則は2回に分けておこないますが、それぞれが進行している場合には同時に行います。腰の手術は腹臥位(はらばい)で行いますので、頸椎も同じ腹臥位でできる手術に原則限ります。手術名でいうと、頸椎の拡大形成術(狭窄症に対して行う)やMD手術(頸椎椎間孔狭窄に対して行う)と腰椎のMD手術(狭窄症やヘルニアなどに行う)は同時に行うことができます。しかし、頸椎前方固定術(仰向けで行う)や腰椎固定術は別々に行います。
腰椎固定術はそれ自体が時間を要しますので、頸椎との同時手術は行っておりません。

2014.02.16 14:56
佐藤
先生は頚椎と腰椎の手術を同時におこなう事って多いでしょうか?
今回の記事のような腰椎固定と同時に頚椎の手術をおこなうことは可能なのでしょうか?

患者からするとせっかく手術するなら首も腰もいっぺんにやって欲しいと希望される方はいると思います。

首や腰の状態によって可能な場合と不可能な場合があると思いますが。

よろしくお願いします。

2014.02.16 10:04

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