fc2ブログ

腰椎変性疾患の術後に症状が悪化した場合にはどう対処すべきか?

.14 2014 腰椎変性疾患の手術治療 comment(15) trackback(0)
 椎間板ヘルニアであれ、脊柱管狭窄症であれ、手術の目的は神経根や馬尾の除圧にあります。
これを神経除圧と呼びます。神経除圧とは神経根や馬尾の圧迫状態や拘扼状態を取り除くことですので、特に神経根への直接的な手術操作が必要になります。

 この神経根の手術操作の過程で、神経根に傷害性の影響が加わると、術後下肢の痛みやしびれが増強します。障害といっても一時的な影響のこともありますし、神経機能障害として残ることもあります。この手術操作で神経根に障害を与えないことが外科医の熟練した技術といえます。

 術後すぐに生じる症状悪化は手術操作自体によるものです。いくら注意して手術をしても術後に神経症状の悪化が起こりえることが手術治療の欠点といえますが、熟練した外科医ではこのような症状悪化は希なことです。殆どないと言ってよいでしょう。

 しかし、不幸にして術後症状が悪化した場合には、次のように対応することが必要です。ヘルニアや狭窄症による神経根の圧迫・拘扼が手術によって除去されている場合には、術後悪化した症状は次第に改善に向かいます。その改善程度は神経障害の程度に依存して異なります。術後2~4週間で症状が改善に向かい、術前の症状が改善しているのなら、そのまま経過を見て心配ないと思います。

 術後悪化した症状の改善が不良で、かつ術前の症状改善も得られていない場合には再手術が必要なことがあります。この場合、神経根の除圧が不完全になっていることが多いので、術後2~4週間で再手術が必要かを判断することが必要です。不完全な神経根除圧に終わった手術では、的確な再除圧で神経症状の改善が期待できるからです。

 また、術後すぐに症状は改善したが、術後3日頃から発現する痛みやしびれは、手術による炎症性の症状であることが多いので、これは時間と共に改善に向かいます。

 このように、術後症状が悪化する場合にはいくつかの可能性がありますので、その原因を見極めて対処することが必要です。

 ただし、再手術は敬遠されることが多い上に、手術は困難になることが多いので、再手術を多く手がけている熟練した外科医を選ばれることが必要でしょう。

腰痛・坐骨神経痛で悩むより多くの方に読んでいただきたいと
思っております。1日1クリックずつ応援お願いいたします。

1245_32.png 1245_32.png にほんブログ村 健康ブログ 腰痛・ギックリ腰へ

関連記事

drshujisato
18/02/01のはなさんへし

大変残念な手術結果ですね。
明らかに手術中に神経根あるいは馬尾神経に障害が加わった結果と思います。
何らかの改善手段がとれるか否かは、画像所見を検討する必要があります。
コメントから原因へと踏み込んだ判断を下すことは困難です。
受診できるようでたら、検討して差し上げますよ。
どれではお大事に。

FROM SHUJIS SATO

2018.02.02 00:06
はな
52歳女性です。
L3/L4の変性すべり症で後方固定術を3ヶ月前に受けました。術前にあった右足の痛みとしびれはなくなりましたが、手術直後から術前とは全く違う痛みとしびれが右足膝裏を中心にあります。
担当医師の説明では、手術時プレート挿入に神経モニターが反応し、プレートを入れ直したのでその時に神経を触った可能性がある。その時に神経を傷つけたのかもしれない。神経の回復には時間がかかるのでしばらく様子をみましょうとのことでした。
しかし一向に良くならず、痛みとしびれがひどくなって現在は右足全体に症状が出ています。
また左足大腿部の外側にも痛みがでています。
特に右膝の痛みはひどく階段の昇り降りも大変になっています。
2ヶ月間過ぎた時点での担当医の説明は、
時間が経過しても症状が悪くなっているのでこのまま痛みもしびれも残る可能性が高い。神経を治す方法はないので投薬で痛みを取りながら生活をするしかないでした。
もともと仕事もし痛みを我慢すれば生活は送れていました。QOLを下げたくなかったので手術を決心しましたが現在は仕事も休んで復職のめども立っていません。
このままの状態では何のためにボルトを入れるというリスクを負ってまで手術をしたのかという思いです。
やはり担当医の言うようにこの症状の改善は無理ののでしょうか?
ご回答よろしくお願いいたします。

2018.02.01 12:26
drshujisato
15/10/26のゆずさんへ  Re: 何をもって悪化とするか

おっしゃるとおり、半分成功、半分失敗のような結果に思われるかも知れませんね。
術前の症状が改善した部分は成功、術前になかった筋力低下が発生したのは失敗ということになりますね。
手術操作によって神経障害が発生することはあり得ることです。これは技術的な力量に関係していることですが。
あなたの場合は、ヘルニアで圧迫されていた馬尾神経の除圧によって改善した症状(排尿障害や会陰部のしびれなど)と神経除圧操作の時に悪化した症状(足の筋力低下など)からなる症状のようです。手術操作によって悪化した神経障害は部分的な障害である限り、術後3ヵ月くらいには改善が進むのが普通です。
まだ術後日が浅いので、手術部位に特別な問題が発生していないのであれば、普通は経過観察をすることになります。
この辺のことを主治医に質問され、改善の見込みを質問されたらよいでしょう。神経障害の改善には少なくとも3ヵ月は必用ですので、これを踏まえて判断されるとよいと思います。

それではお大事に。

FROM SHUJI SATO

2015.10.27 00:28
ゆず
25歳女性です。先月下旬に腰痛が悪化し、通っていた診療所から今月6日に大きな病院を紹介してもらうことができました。やや排尿障害が出ていたために、説明も最低限に、ほぼ手ぶらで来院してなんの準備もない状態から緊急手術(LOVE法)、入院となりました。
術後、眠れないほどの激痛は嘘のように消え、肛門周りの麻痺もほとんど取れました。しかし、右脚の太腿の真裏からふくらはぎ、踵から小指までの痺れは全く変わりません。それどころか、術前は痛みが激しくて動くのに辛い時はあっても、運動障害はなかったのですが、術後、ふくらはぎから足の裏に力が入らないようになりました。不安に思い、回診の度に訴えたのですが、執刀医は術後の痺れはひと月ほどで徐々に薄くなると、繰り返し繰り返し同じ説明をするだけでした。それは、10日後の退院時の説明も同じでした。
入院中は筋力が落ちているだけなのかも知れないと思っていましたが、日常生活を送るにあたり、左脚の筋力が戻りつつある今でも、右足で背伸びができない、走れない、どころか歩くのにもたいへんに支障が出る(徒歩15分のスーパーに行くのに40分かかり、階段は手すりがないと辛い)ようになり、とてもではないですが仕事に戻れそうもありません。もともと体力自慢、旅行が趣味で、まだ若いと思っていたので、目の前が、人生の展望が真っ暗になったような気分です。
これは、手術失敗と言えるのでしょうか? また、2週間後に控える術後検診で、執刀医に何と言って、どのような説明を受けるべきでしょうか? たどり着いたここが光です。なにとぞ、ご教授お願いいたします。
2015.10.26 17:58
drshujisato
15/09/11のはるさんへ  Re: 腰椎術後、痛み再発

なかなか複雑な状態ですね。
当院の受診が決まっているようですので、その時に頚椎と腰椎の状態を調べ、現在の症状の原因診断と治療方針を検討いたしましょう。
それではお待ちしています。

FROM SHUJI SATO
2015.09.15 19:00
はる
こんにちは。先生に私の腰のどこが悪いのか診ていただきたく10月6日に予約しています。頚椎と腰椎、同時発症した為、足の痛みは、どこからきてるかわかりません。足のすね足の裏激痛。かなりつらいです。
頚椎椎間板ヘルニアを発症し、神経根と脊髄圧迫、歩行障害がでたため、手術済。腰は昨年の12月に腰椎椎間板ヘルニアでL45で左足首が曲がらなくなり、筋力低下を起こした為、東京の病院で手術してもらい、術後、足首が曲がるようになりました。退院後、腰椎脊柱官狭窄症の症状が右足にもあらわれ、1月にも手術してもらいました。1回はよくなったものの、痛みが再発。頚椎を手術してくれた医師は、椎間孔がせまく両側神経根を圧迫しているようですと診断してくれました。その医師は、頚椎専門で腰椎は、手術しません。先生が頼りです。よろしくお願いします
2015.09.11 09:36
佐藤
ありがとうございます。

明らかに上肢と下肢に症状が出てるので早急に医師の診断を受けて治療したいと思います。

2014.04.30 09:15
drshujisato
頸髄症と神経根症の症状は異なります。ただし、両方の症状を持つ患者もおられます。神経根症は上肢のみの症状ですが、頸髄症は上肢のみの場合と上肢と下肢の両方に症状のある場合があります。下肢に症状がある場合には頸髄症の症状であり、頸髄の障害が強くなるほど下肢の症状も強くなります。
頸髄症は中枢神経の障害ですので、障害が進むと手術をしても後遺症状を残す危険性が高くなりますので、できたら早めに手術を行うことが良いと思います。これに対して神経根症は末梢神経の障害ですので、自然に症状が良くなる場合も多いので、症状経過を見極め、神経根症状が改善しない場合や症状が悪化する場合には手術を行うべきと思います。神経根障害が後遺症として残存することで生活に支障を残す場合もあるからです。
2014.04.29 22:41
drshujisato
患者が医師を選ぶ基準についての質問ですが、これに対する答えほど難しいものはありません。
確かに、専門医や指導医の資格は臨床的技量が一定レベル以上であることの目安にはなりますが、患者が安心してどんな手術でも任せられるかというと必ずしもそうではないというのが実情です。
指導医でも診断力や技術力の劣る医師もおりますので、学会が定めた指導医や専門医の資格は患者に安心を必ずしも保証するものではありません。ちなみに、私は専門医ですが指導医の資格は取っておりません。私のある種こだわりから、これからも取るつもりはありません。やはり年間の手術件数と患者からの評価の高い医師を選ぶのが無難な選択といえましょうか。
2014.04.29 22:32
佐藤
すみません連続で質問させてください。

頚椎症性神経根症と頚髄症ではハッキリと症状は違いますか?
神経根の圧迫の場合は症状は上肢、頚髄症の場合は脊髄本体への圧迫があるので下肢にも症状が出るとネットで調べると書かれてます。
また、手術を遅らせないほうがいいとも書かれてました。
実は、今月あたりから両手の痺れだけでなく両足の裏への痺れが出てきました。
内股へもピリピリと変な違和感もあります。
吐き気が襲ってくることもあります。
腰もかなり悪いのですが首の症状がきつくなってきました。
いよいよ酷くなってきたので来月病院に行くことにしました。
もし頚髄症だった場合は即手術になる可能性が高いのかと不安になってます。
頚髄症は治らないので手術したほうが良いとネットでは書かれてるので不安です。
できれば、神経根への圧迫であって欲しいと思ってます。




2014.04.27 18:49
佐藤
患者が医師を選ぶ基準について質問させて下さい。

①年間の手術件数
②指導医の資格を持ってる医師が在籍してる

手術件数が多く、専門医よりも上に位置する指導医がいたほうが診断力、手術技術が良いのではないかと判断する傾向があります。

答えにくい質問かもしれませんが何も分からない患者からすると病院や医師選びでは上記の基準で選ぶしかないと思います。

特に、指導医という資格がどのような医師に与えられるものなのかなかなかわかりません。
指導医=診断力がある=手術技術も高い と判断して良いでしょうか?

2014.04.27 09:04
ディジー
膝はバリバリ元気です^o^
ありがとうございました!
2014.04.22 23:39
drshujisato
正座は腰に良い座り方です。膝が悪くなければですがね。横座りやあぐら、足を前に投げ出す座り方は良くありませんので、ご注意ください。
2014.04.21 23:10
ディジー
前回のコメントした者です。

その後、少しずつ痺れも治まってきました。まだ完全という訳ではありませんが明るい兆しが見え嬉しく思っています。
ここで質問することではないかもしれませんが教えてください。
ヘルニアの術後、まだ3週間ですが普段の生活で正座はしても大丈夫でしょうか。

2014.04.19 10:05
ディジー
回答ありがとうございました。
そういうことですね…
まだ、改善していく可能性もあるので、それを期待しながらリハビリしたいと思います。
次回の診察は1ヶ月後だったので少し不安になっていました。
2014.04.14 18:16

  • comment
  • secret
  • 管理者にだけ表示を許可する

trackbackURL:https://spine.drshujisato.com/tb.php/315-efcfb454