平成23年頃から、患者さんは腰痛と左下肢痛があり、歩行で痛みが増し、座ると軽減するという狭窄症様の症状を持っていました。寝るときには、左を下にすると痛みが増し、右下すると痛みが軽減するという状態でした。
症状は左L5神経根が原因の坐骨神経痛と診断しました。
画像検査では、腰椎症性変化が進んでいますが、今回の症状の原因はL4/5の右側の腰椎症性脊柱管狭窄症と診断し、同じレベルの右側の椎間孔狭窄も疑われたため、
手術は、MD法により、脊柱管内で右L5神経根を除圧し、併せて右の椎間孔拡大術を行い、右L4神経根も除圧しました。後者は症状との関連性が否定できないと判断されたからです。
手術はチューブレトレクタ-直径18mm、長さ60mmと手術顕微鏡を用いて、予定通りに終わりました。
手術時間は1時間15分、出血量は10mlでした。
術後経過は、術前の左下肢の痛みとしびれの改善が見られず、今回の手術はfailed back surgeryの可能性が高いと
判断し、画像の再検討を行ったところ、左L5/S1の椎間孔外に狭窄性病変があり、これが真の原因かと
考えてみましたが、狭窄程度からは、確信には至りませんでした。この所見は前回の手術の時の所見と変化ありませんでした。
患者さんと相談したところ、再手術で良くなる可能性があるのなら、もう一度手術を受けたいとの希望があったので
前回の手術の2週後に、MD法によるL5/S1の外側アプローチでMD法により、椎間孔外側部から椎間孔外に
かけての部位でL5神経根の除圧を行いました。手術所見は、画像所見からの推測を上回るL5神経根の拘扼所見を
認めました。瘢痕組織がL5神経根と強く癒着もしていました。
手術時間は1時間15分、出血量25mlでした。
今度は、下肢の痛みとしびれの軽減が術後直ぐに確認できました。
この患者では、初回手術時には、L5/S1の椎間孔外狭窄が症状に関係しているとは判断しませんでした。
しかし、結果的には、これが症状の真の原因であったことが、再手術によって判明しました。
腰椎変性疾患の手術では、このようなことが起こることがあるので、私は術後1~2週間までには
診断や手術に間違いが無かったかを判断することにしています。、
腰痛・坐骨神経痛で悩むより多くの方に読んでいただきたいと
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