椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症、すべり症などは再発の頻度が少なくないことを知って、生活を考えることが
必要です。あれもしたい、これもしたいは誰もが望むことですが、腰椎の変性疾患を発症した人は
欲張らず、慎重になることも必要です。その理由を説明します。
最近、三度目、四度目、五度目の腰椎手術を受けに来られる方が増えてきました。年齢は当然ですが、70代の人にがぜん多いです。50代、60代で最初の手術を受け、再発を繰り返しながら70代に至るといった経過です。
ヘルニアや脊柱管狭窄症の初回手術部位での再発や、初回手術とは別の部位での再発、腰椎固定術を受けた方が新たに隣接椎間にヘルニアや狭窄症を起こしたり、再発の形は実に様々です。
初回手術後、調子の良い方々は「喉元過ぎれば・・・・」の生活になっていきます。無理はないと思います。痛みがなくなるともとの健康な腰に戻ったと錯覚してしまいますから、それが普通だと思います。私はそれでいいんだろうなと受け止めていますが、再発すると、当の患者本人はそんなはずではなかったと落胆されます。中には確信犯のような豪傑者の患者もおられますが。
手術で治したといっても、悪い腰の部分修理のようなものですから、また故障することは充分にあるのです。「腰椎変性疾患は加齢と生活と体質が絡み合って起こる病気」ですが、この中で患者さん自身が注意できるのは「生活のみ」と言ってよいでしょう。加齢は生きている限り避けられませんし、体質も本質的に変えることは困難です。生活を変えるとは、仕事やスポーツなどによる腰への負担を軽減して、腹筋や背筋を鍛錬する習慣を持つことですが、実は、これもなかなか困難です。仕事を変えるなどそう簡単にはできませんし、好きなスポーツ、特にゴルフなどは諦めるなどとんでもないという方々も多いようです。
このような理由から、腰椎変性疾患の再発防止は困難であり、一度罹患した人は二度目、三度目、もしかすると四度目、それ以上の再発に見まわれることがあるのです。
私は、長い期間、何度の再発にも対応できる手術法を探求してきました。そして、現在、再発患者をできるだけ多く受け入れ、症状の改善に努めています。今週、85歳の男性が以前に腰部脊柱管狭窄症の手術を受けられたが、数歩しか歩けない状態になって受診されました。その方は、前回手術のL4/5の狭窄症の再発ではなく、別の部位であるL5/S1の両側の椎間孔狭窄が原因でした。MD法で両側の椎間孔拡大術を行い、L5神経根を除圧して、症状の改善が得られ、杖を用いてですが、歩けるようになって退院されました。
この方が前回手術後、今回までの生活でどれだけ注意を払っていたかは判りませんが、痛みのない、不自由のない生活を生き抜くためには、それなりのご本人の注意も必要なことを退院時に説明させていただきました。
腰痛・坐骨神経痛で悩むより多くの方に読んでいただきたいと
思っております。1日1クリックずつ応援お願いいたします。

- 関連記事
-
trackbackURL:https://spine.drshujisato.com/tb.php/329-089ba68b