2002年から2013年までの11年間に、私が手術顕微鏡とTube retractorを用いたMD法で
手術を行った腰部脊柱管狭窄症は826例ありました。
その内、2012年1月から2013年12月までの2年間にMD法で手術を行った176例を検討いたしました。
年齢:14ー91歳(平均68歳)
性 :男117例、女59例
椎間板ヘルニアや変性すべり症、分離すべり症、側彎症などに合併した脊柱管狭窄は検討から除外してあります。
除圧椎間数(176例)は1椎間と2椎間で全体の95%です。私は、MRIで脊柱管狭窄があっても、症状とは関係しない、無症状のもの対しては原則、手術は行いません。
1椎間: 88例 (50%)
2椎間: 80例 (45%)
3椎間: 8例 ( 5%)
手術椎間(272)は、最も多いのがL4/5、次いでL3/4、L5/S1、L2/3、L1/2の順です。
L1/2: 1例 ( 0.4%)
L2/3: 19例 ( 7.0%)
L3/4: 64例 (23.5%)
L4/5: 154例 (56.6%)
L5/S: 34例 (12.5%)
脊柱管狭窄症に合併した腰椎変性疾患の他の病型は、
椎間孔狭窄:22例 (13%) L4/5:14例、L5/S:7例、L2/3:1例
椎間孔外狭窄:8例 (5%) すべてL5/S
過去に脊柱管狭窄症の手術を受けた症例で同一部位の再発は9例ありました。
脊柱管狭窄症と同じレベルに滑液嚢腫を合併した症例は3例でした。
手術はすべて、小切開のMD法で行いました。
狭窄症1椎間の手術時間は平均1時間、出血量は10mlです。
手術成績: 次の基準で評価しました。
Excellent:術前の痛みを含めて、症状はすべて消失、 Good:痛みと歩行障害は解消しているが、下肢にしびれなど神経症状が一部残る。鎮痛剤などの治療は不要、Fair:痛みや歩行障害は改善しているが、充分とは言えない。 Unchanged:術前と比べて改善なし。Worse:術前よりも悪化している。
1)全体 176例では、ExcellentとGoodを合わせると94%になります。
Excellent 54例
Good 112例
Fair 10例
Unchanged, Worse 0例
2)脊柱管狭窄症+椎間孔内外狭窄 30例
Excellent 6例
Good 24例
3)狭窄症術後再発例 9例
Excellent 4例
Good 5例
術中トラブル
高度の狭窄例で馬尾弛緩を伴っていた2例で、硬膜破損と馬尾脱出が起こり、
傷を広げて、馬尾を硬膜の中に戻し、縫合閉鎖を行った。
神経症状などの合併症はなし。
神経障害(-)
感染症(-)
内科的合併症(-)
結論:
腰部脊柱管狭窄症のMD法による手術成績は、患者にとって満足できるものでした。手術による後遺症状を残した症例も
合併症もありませんでした。脊柱管狭窄症に併存することのある椎間孔狭窄症や椎間孔外狭窄症、滑液嚢腫などを的確に診断し手術することが手術成績の向上につながります。
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