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今年6月に行われた第29回日本脊髄外科学会で発表した「腰部脊柱管狭窄症の手術成績」を紹介します

.17 2014 腰部脊柱管狭窄症 comment(9) trackback(0)
2002年から2013年までの11年間に、私が手術顕微鏡とTube retractorを用いたMD法で
手術を行った腰部脊柱管狭窄症は826例ありました。

その内、2012年1月から2013年12月までの2年間にMD法で手術を行った176例を検討いたしました。
    年齢:14ー91歳(平均68歳)
    性  :男117例、女59例

椎間板ヘルニアや変性すべり症、分離すべり症、側彎症などに合併した脊柱管狭窄は検討から除外してあります。

除圧椎間数(176例)は1椎間と2椎間で全体の95%です。私は、MRIで脊柱管狭窄があっても、症状とは関係しない、無症状のもの対しては原則、手術は行いません。
  1椎間: 88例  (50%)
  2椎間: 80例  (45%)
  3椎間: 8例   ( 5%)

手術椎間(272)は、最も多いのがL4/5、次いでL3/4、L5/S1、L2/3、L1/2の順です。
  L1/2: 1例 ( 0.4%)
  L2/3: 19例 ( 7.0%)
  L3/4: 64例 (23.5%)
  L4/5: 154例 (56.6%)
  L5/S: 34例 (12.5%)

脊柱管狭窄症に合併した腰椎変性疾患の他の病型は、  
     椎間孔狭窄:22例 (13%)    L4/5:14例、L5/S:7例、L2/3:1例
     椎間孔外狭窄:8例 (5%)   すべてL5/S

過去に脊柱管狭窄症の手術を受けた症例で同一部位の再発は9例ありました。
脊柱管狭窄症と同じレベルに滑液嚢腫を合併した症例は3例でした。

手術はすべて、小切開のMD法で行いました。
  狭窄症1椎間の手術時間は平均1時間、出血量は10mlです。

手術成績: 次の基準で評価しました。
   Excellent:術前の痛みを含めて、症状はすべて消失、 Good:痛みと歩行障害は解消しているが、下肢にしびれなど神経症状が一部残る。鎮痛剤などの治療は不要、Fair:痛みや歩行障害は改善しているが、充分とは言えない。 Unchanged:術前と比べて改善なし。Worse:術前よりも悪化している。

1)全体 176例では、ExcellentとGoodを合わせると94%になります。
     Excellent      54例
     Good      112例
     Fair      10例
     Unchanged, Worse     0例

2)脊柱管狭窄症+椎間孔内外狭窄  30例
    Excellent       6例
    Good   24例
3)狭窄症術後再発例     9例
   Excellent    4例
   Good    5例

術中トラブル
  高度の狭窄例で馬尾弛緩を伴っていた2例で、硬膜破損と馬尾脱出が起こり、
      傷を広げて、馬尾を硬膜の中に戻し、縫合閉鎖を行った。
    神経症状などの合併症はなし。
神経障害(-)
感染症(-)
内科的合併症(-)

結論:
腰部脊柱管狭窄症のMD法による手術成績は、患者にとって満足できるものでした。手術による後遺症状を残した症例も
合併症もありませんでした。脊柱管狭窄症に併存することのある椎間孔狭窄症や椎間孔外狭窄症、滑液嚢腫などを的確に診断し手術することが手術成績の向上につながります。

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2014.07.22 08:16
drshujisato
このブログ相談室では、皆さんとの症状経過に細かく対応できずないのが実情です。
皆さんの悩みにざっくりとした対応しかできないため、期待はずれという方もいるだろうと懸念しています。
それもこれも私の時間が限られているためとご了解ください。
また、メールでの回答はできませんので、これもご了解ください。
2014.07.21 11:50
drshujisato
それでは、頚椎は考えにくいですね。
突然に脚に力が入らなくなるようですが、これは腰椎でも頚椎でも考えにくい症状です。
この症状は脳血管障害など別の原因も考えなくではならないかも知れません。
貴方の年齢によりますがね。
腰痛があることから、腰椎にもそれなりの問題はあるように思われます。
2014.07.21 11:15
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2014.07.19 10:04
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2014.07.18 09:38
イヌ
名無しでコメントした者です

手の症状は普段感じる事は有りませんがたまに寝ていて起きた時に手が痺れていることがあります、腰痛もなんとも無いときがあり、普通に仕事に出ていて突然脚に力が入らなくなり、暫くするともとに戻ることが度々あり、そのあとは必ず腰痛になるの繰り返しです、腰痛の無いときも左腰に違和感があります。
2014.07.18 01:16
drshujisato
頚椎の場合は、先ず上肢、手に症状がでます。下肢、足に症状がでるのはその後です。
貴方の場合は、どうでしょうか?
貴方の書かれた症状からは、腰椎に問題があるように思います。
軽度のヘルニアであるのか、疑問がありますので、別の医師の診断を受けることも検討されたら良いと思います。
私は、脊髄造影検査は行っていません。MRIやCT,レントゲン撮影があれば、脊髄造影は必要ないというのが
私の立場です。脊椎専門医の中でも、脊髄造影検査は減ってきたように思われます。
2014.07.17 23:37
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4ヶ月前にギックリ腰のようになり腰痛と左脚に痺れがあり病院にかかりました、診断は軽度のヘルニアと年齢のわりに脊椎がつまっているからということで投薬で様子見でしたが、今度は足が吊るようになり、腰痛も酷くなり時々脚に力が入らなくなるような事があり転倒したりするようになりして首のMRIも撮り首にも軽度のヘルニアがあり、どこが原因かわからないから造影材検査をしようと言われましたがやらなければダメなんでしょうか?
2014.07.17 08:07
-
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2014.07.17 00:24

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