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腰椎分離すべり症の80歳の女性に選んだ手術法

.14 2014 腰椎分離すべり症 comment(2) trackback(0)
 長い腰痛癧と両下肢の痛みとしびれを持ち、歩行が困難になってきた80歳の女性患者が受診されました。
検査の結果、L5の両側分離症でL5/S1にすべり症を伴っていました。
MRIでは、予想通りにL5/S1の両側で椎間孔狭窄が進行しており、右側で狭窄は強く、下肢の症状が左に強いことと
一致した所見でした。

 身体的には、高血圧や糖尿病などがあり、決して良好といえる状態にはありませんでした。
痛みをとり、歩けるようになりたいとのご本人の希望が強いために、手術することを決めました。
問題はどのような手術法をとるかです。
 理想的には、私の行っている最小侵襲の神経除圧術とTLIFという椎体間固定とペディクルスクリュー固定術ですが、
患者さんは、高齢であり、骨粗そう症も年齢相応に見られ、身体的条件は余りよくないことから、
固定術は行わず、MD法による両側の椎間孔でL5神経根の除圧術のみを行うことを決定しました。
術後にはコルセット装着など、後療法をきちっと守ってもらうことを指導いたしました。

手術は、両側の筋間アプローチ(多裂筋と最長筋の間からのアプローチ)をとることにし、腰の真ん中から左右40mmに
20mm弱の皮膚切開を加え、直径18mm、長さ60mmのチューブレトレクターと手術顕微鏡を用いた,MD法により
両側のL5神経根を椎間孔内から外にかけて除圧しました。内側では、脊柱管までとしました。
手術所見はMRI画像で予想されたとおり、右側でL5神経根の圧迫は強く、瘢痕性組織と強く癒着していました。
両側でL5神経根が充分に除圧されたことを確認し、閉創しました。私はMD法では創部にドレーンは留置しません。
手術時間は1時間35分、出血量は10mlでした。

患者さんは、翌日から離床開始し、簡単なリハビリを開始しました。足にまだしびれ感は残りますが、痛みはなくなり、
歩行も順調に改善に向かっています。

この患者さんの今後の問題は、すべり部の不安定な骨の状態は軽いですが、両側分離症があり、固定術を行っていませんので、手術部位での再発が起こらないかです。後療法をきちんと行ってもらい、良くなったことを過信せず、無理をかけ過ぎないよう生活してもらうことを指導するつもりです。

手術は、患者さんの年齢、持病、その他の身体条件を十分に踏まえて、どのような方法を採るかを決めることが必要です。医師は手術の安全と効果には充分に配慮できても、患者さんの退院後生活まではコントロールできませんので、患者となられた方は医師の指導を軽視することなく、その後は自己責任の部分が大きいと覚悟して、生活の質を維持して頂きたいと望みます。

腰痛・坐骨神経痛で悩むより多くの方に読んでいただきたいと
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drshujisato
15/05/02のTaketoki さんへ  Re: L4/L5椎間板ヘルニアによる下垂足に関する質問>

下垂足に関しては、主治医が説明する通りです。
麻痺の程度と期間が回復に大きく関係します。
あなたの場合、外国旅行中に発症しており、その後の対応は迅速になされており、不幸中の幸いだと思ってください。
麻痺の回復には術後3ヵ月はみて、その間には足の背屈運動などに努めて下さい。
術後回復徴候があらわれており、まだ回復する可能性が高いですが、
最終的にどこまで回復するかは、今後の回復具合をみて、判断が必要です。
なすべきことをなし、その上で結果を受け取る覚悟も必要です。
頑張って下さい。

from SHUJI SATO
2015.06.02 17:18
Taketoki
佐藤先生

無料相談室へコメントできなかった為、こちらに失礼致します。
よろしくお願い申し上げます。

腰椎椎間板ヘルニア患者の30歳男性です。下垂足に関しての質問です。

5月28日にL4/L5椎間板にPELD手術を受けました。

手術の成果としましては、神経痛は魔法のように消えてなくなり、痛みで腰を横にずらすようにしか立てなかったのが真っ直ぐ立てるようになりました。
しかしながら、左足の麻痺(下垂足)は術前と大差はない状態でした。

医師の説明では、術後に下垂足がすぐに良くなる場合もあるが、神経が圧迫されている期間が長ければ長いほど治るのにも時間がかかるということでした。私の場合は臀部から脚にかけての神経痛が最初に始まり、それから1週間後に下垂足になりました。その時点から手術までの期間は2週間です。

担当医師曰く、発症から一週間以内に手術を受けることができれば元の状態に戻る可能性は高いが、二週間の私の場合、患者によりケースバイケースで現状より改善されることは保証できるが、どこまで治るかはなんとも言えないとのことでした。

術後の経過としましては、手術直後は左足の薬指から親指にかけてビニールが張り付いたような違和感が2日ほどありましたが、今はなくなり、現在は人差し指と親指に軽い痺れがある状態です。足の可動域に関しましては、寝た状態で足を前屈させますと直角には届かないまでも術後と比べますと少し可動域が広がったように感じます。足の左側が反応が鈍いせいか右側より左側が少し垂れてしまう状態です。

現在は装具をつけて生活しており、足の可動域を広げる、臀部の筋肉をつける、コアマッスルを鍛えるリハビリと低周波リハビリを続けております。

今回は世界一周の旅の途中で南米ペルーにて発生してしまい、現地での診察やMRI撮影など時間がかかってしまい、手術も現地では難しいとのことで、緊急帰国など下垂足発症から手術まで時間がかかってしまったことに悔いが残りますが致し方ありません。

スポーツが大好きで野球、サッカー、ゴルフ、スキー、スノーボードなど、なんでもやるのですが、下垂足をいち早く、どうにか治せないかとリサーチしているのですが、症例が少ないのか今やっているリハビリ以外、特にみつかりません。今のリハビリを続けるのが最善なのでしょうか?

また、今後の経過についても明確な回答は難しいことと存じますが、どの程度の回復が見込めるのでしょうか?完全な状態に回復する可能性もあるのでしょうか?統計学的なご回答でも構いませんので現実を知りたいところであります。

どのようなご回答でも諦めず最善の行動を続けていこうと思っておりますが、以上の質問に対してアドバイスを頂ければ幸いです。

長文になりましたが、どうぞ宜しくお願い申し上げます。

Taketoki

2015.06.02 03:04

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