私が腰椎手術を成功と判断する基準は、術後すぐに下肢の神経症状の改善が得られ、手術による新たな症状の発現が見られないことです。
今日手術の50代女性は、過去にL5/S1とL4/5の手術を受けたことがあります。今回は、L4/5にすべり症と脊柱管狭窄を認め、さらにL3/4にも脊柱管狭窄症が進んでいました。
術前は、左下肢の坐骨神経痛と足の背屈障害があり、間欠性跛行があり、10mの歩行も困難な状態でした。座っていても両下肢にしびれを感じる状態でした。
保存治療では、もはや症状の改善は期待できなく、さらに悪化することを説明し、手術に踏み切りました。
手術は、L4/5の両側で40mmの皮膚切開を行い、筋肉と筋肉の間から骨にいたり(筋間アプローチ),チューブレトレクターとO-armとナビゲーションを用いて、ペディクルスクリュー(俗にボルト)を挿入し、左の椎間孔を解放して、TLIFと呼ばれる椎体間固定を行いました。引き続き、L4/5とL3/4の正中にそれぞれ18mmの皮膚切開を加え、MD法による右片側アプローチにより、L4/5では両側のL5神経根と馬尾を除圧し、L3/4では、両側の馬尾除圧を行いました。L4/5では、過去の手術によりL5神経根や硬膜には瘢痕組織による強い癒着を認めました。神経除圧には苦労しましたが、無事終わりました。 手術時間は約4時間、出血量は150mlでした。
麻酔から直ぐに醒めた患者さんは、腰の手術部位の痛みは軽く、動きの悪かった左足の動きは私もびっくりするほどに改善していました。坐骨神経痛も感じないとのことでした。このような大きな手術直後にも関わらず、笑みを浮かべて話してくれたのには私も感動しました。これこそが手術成功です。手術による辛い痛みを与えず、術前のつらい痛みを速やかに取り除くことができてこそ、手術は成功と私は判定します。明日から、歩行開始できるでしょう。
すべり症では、これに合併する脊柱管狭窄症による馬尾や神経根の圧迫で、下肢の痛みやしびれ、麻痺が発現しています。そのため、神経除圧を適切に行うことで、術後神経症状は速やかに改善へ向かいます。
すべり症では固定術が成功しても、神経除圧が不十分であるなら、術後患者の下肢の症状は改善しなかったり、悪化したりがあります。
腰部脊柱管狭窄症でも、変性すべり症に伴う脊柱管狭窄でも、症状を改善するのは的確な神経除圧にあることを知っておいてください。これが重要なポイントです。
腰痛・坐骨神経痛で悩むより多くの方に読んでいただきたいと
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