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ぎっくり腰の正体と腰椎椎間板ヘルニアの関係 part 4

.09 2011 腰椎椎間板ヘルニア comment(0) trackback(0)
Psrt 4の今回はいよいよ私の行っているMD手術について説明します。MD手術とは、一口で言えば、ヘルニアに対するピンポイント手術です。つまり、ヘルニアを取るために余分な組織傷害を与えない手術ということになります。私は直径16mmの細い筒を骨と筋肉の間からヘルニアの直ぐ上の骨へと挿入します。この金属の筒のことをチューブレトラクターと呼んでいます。勿論、その中を肉眼で見ることは出来ませんので、手術顕微鏡を用いて、細い筒中を拡大し、太い土管のように見えるようにします。こうのようにしておいて、後は顕微鏡を見ながら、ヘルニアの上の骨を少し削り、その下にある黄色靭帯という名の靱帯を切除して、神経を出します。神経と言いましても、神経は膜をかぶっているので直接に見えるわけではなく、膜をかぶった状態で見えるのです。神経が束になっている木で言えば幹にあたる部分を硬膜管と言います。その中にある多数の神経は馬の尻尾のように見えることから馬尾と呼ばれます。この骨の中心部にある硬膜管から木の枝のように左右対称に分かれて骨の外に出て行く神経を神経根と呼びます。通常、ヘルニアがこの神経根を強く圧迫すると臀部から下肢の激痛になるのです。腰椎の骨は5個ありますが、ヘルニアが最も起こりやすい椎間板は腰椎の4番と5番の間にある椎間板で、これをL4/5の椎間板と表現します。ここに発生したヘルニアのことをL4/5の椎間板ヘルニアと呼びます。このL4/5では、通常は腰神経の5番目、L5神経根と呼びますが、この神経根が障害を受けます。このL5神経根は坐骨神経を作る複数の神経の1本ですので、このL5神経根がヘルニアで圧迫されると坐骨神経痛が発生するというわけです。話がそれましたが、手術では黄色靭帯を切除しても、ヘルニアは硬膜管や神経根に隠されて直ぐには見えないのです。硬膜管や神経根を内方へ寄せて始めてヘルニアが見えてきます。ヘルニア発症後、長い時間が経過していると、このヘルニアと神経根や硬膜管との間に癒着が起こっています。この癒着が強いとヘルニアを出すのに難儀するわけです。このように、ヘルニア手術では、硬膜管や神経根を触らずにヘルニアを取り除くことなど出来ないといって良いでしょう。この時に操作をうまくやらないと手術による傷害が神経に加わってしまいます。手術顕微鏡は直径5mm前後の神経根を太く立体的に拡大して見せてくれるので、はく離操作やヘルニア摘出が安全になるのです。直径16mmのチューブレトレクターを挿入するために皮膚切開が必要であり、その切開が通常は15mm~17mmということです。若い人は皮膚が柔らかく伸縮性があるので15mm、一方、老人では皮膚は硬く、厚く、伸縮性がないので17mmという訳です。どちらにしても、術後の痛みは少ないことから、翌日から歩くことができるわけです。手術時間は30~60分、平均で45分です。
次回 part 5では、術後退院までとその後の説明を致します。




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