ブログ相談室には、表現に違いはありますが、この種の矛盾を指摘する声が多く寄せられます。そのため、これに関する私の意見を述べたいと思います。そもそも患者の症状の原因として腰椎変性疾患を疑い手術を行う医師は、患者の症状がよくなることを期待して手術を行うはずです。どこを手術すれば患者の症状は良くなるのか、医師は各種の検査で症状の原因を突き止め、そこに手術を行うはずです。従って、原因診断が正しく、手術が適切なら、患者の症状は良くなるはずです。もし良くならなければ、その原因は次の二つのいずれかです。一つは原因の診断ミス、もう一つは不完全手術です。このことから、手術は適切で問題ないと主張するなら、良くならない原因は診断の誤りにあるはずです。ところが、腰椎手術は成功と主張する医師は自身が下した診断が適切であったかどうかには言及しない傾向が見られます。しかし、「診断に誤りはなかった」と自信をもって主張できるほど、腰椎変性疾患の診断はそれほど簡単ではありません。私は、手術に問題はなさそうだが、明らかに診断ミスのため症状の改善に失敗したと判断される患者の再手術を多く手がけてきました。この経験から、「手術は成功、良くならないのは患者に原因がある」の言葉は、余程の根拠・確信が医師にない限り、軽々しく口にすべきでないというのが私の意見です。そのような医師の対応によって、精神を病んでいく患者が少なくありません。
*腰椎変性疾患とは、椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、変性すべり症、分離すべり症、腰椎症などを指します。
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