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金沢脳神経外科病院を2020年3月31日をもって去るにあたり、私から皆様へのメッセージ

.23 2020 脊椎疾患 comment(0) trackback(0)

皆さんに、誠に残念で申し訳ない報告があります。本年(2020)331日をもって、私は当院を退職せざるを得なくなったため、4月から当院での脊椎手術は殆どが実施不可能となります。私以外に、当院で脊椎手術を行ってきた金沢医科大学脳神経外科の医師も引き上げるからです。

 

2月末に急遽、このような事態に陥ったため、4月以降に予約されていた脊椎専門外来と手術の全てをキャンセルせざるを得なくなりました。今まで当院で背椎手術を受けられた患者さんは、腰椎だけでも4,000人以上になりますが、4月からは患者さんのアフターケアや手術を行うことができません。脊椎変性疾患は再発が多いことから、皆様のこれからの求めに応じられないことは外科医として断腸の思いです。

 

当院は、他院で診断のつかない患者さん、手術を受けても良くならなかった患者さん、再発に悩む患者さん、高齢のため手術適応外とされた80代・90代の患者さん、持病のため通常の手術ではリスクが高いと判断された患者さん、さらにMD法による手術を希望する患者さんなどが、全国から多数受診されていました。患者さんから、当院は腰椎疾患の「駆け込み寺」と呼ばれていたのは、このような患者さんが多かったためです。

 

私は5年前に悪性リンパ腫に罹患し、約4ヵ月間、抗がん剤治療を受けました。正直、辛い体験でした。しかし、この体験があればこそ、患者の不安・苦しみ・痛みが自分のこととして理解できるようになりました。私が治療終了後3ヵ月で手術に復帰できたのは、皆さんの存在があったればこそで、皆さんが私の外科医としての使命感を鼓舞してくれたからです。そして、現在、私は70歳を少し過ぎ、癌を克服し、皆さんへの責任をなお一層強く感じるようになっていた矢先の不本意な退職となります。

 

 突然に人生の転機を迎えたこと、さらに今月末まで手術が詰まっていることから、退職後の準備は全くできていません。そのため4月以降はしばらく羽を休め、皆さんのために何ができるかをじっくり考えたいと思います。これから私の時間は有り余る程ですので(笑)、ブログなど皆さんのお役に立てるところから、少しずつ活動を開始して行きます。私の退職で、これまで皆さんとの間で築かれたご縁までもが断ち切られることはありませんので、引き続き宜しくお願いいたします。

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