頚椎椎間ヘルニアの診断がついたら、治療をどう進めるかが次の問題である。保存治療か手術治療か。腰の場合でもそうであるが、原則論では、先ず保存治療である。勿論、すべての治療方針には例外があり、その例外を知ったdoctorでなければならないことは言うまでもない。例えば、ヘルニアにより脊髄が高度に圧迫され、脊髄の障害が進む場合には早期手術が必要になる。それは脊髄傷害による後遺症を残さないためである。話を戻して、保存治療は、先のブログでも書いたように、炎症主体の症状期は頚部の安静が必要で、カラー装着は有効であり、消炎鎮痛剤の服用は単なる痛みどめとしてだけではなく、局所の炎症を取り除き症状を軽減する効果がある。根性痛が強い時には、使用に問題のない患者であれば、ステロイドの注射はかなり有効だが、連用はだめである。夜間、痛みで睡眠が十分取れない場合には、座薬鎮痛剤や安定剤、睡眠薬の服用も考慮する。これも腰の場合と同じだが、家事や仕事で動きが激しい人やパソコンを長時間使う人、上や下を向くことの多い仕事に従事する人では、なかなか保存治療の効果がでにくいことになる。頚椎でも神経ブロックが行われているが、腰椎以上に安全で有効なブロックをするには技術が必要なので、ペインクリニックなどの経験豊富なdoctorに依頼することをお勧めします。この保存治療の期間に注意が必要なことは、手のしびれや使いにくさが強くなったり、腕の力が落ちていっていないかを定期的にチェックすることです。神経機能の評価は患者自体では難しいのでdoctorが行うことです。首でも腰でも、ヘルニアは痛みだけが問題ではなく、神経機能の障害の有無と程度を合わせてチェックすることが必要です。保存治療で症状が改善傾向にある方は、保存治療を続けて、経過をみるのでよいと思います。頚椎の牽引に対するdoctorや他の治療者の理論は色々あるようですが、私の考えはヘルニア発症の急性期には行わない。脊髄障害が中心の患者では行ってはいけない。牽引が有効なのは、ヘルニアの急性期が過ぎてからも、神経根の圧迫によるしびれなどが続いている患者であると思います。椎間板の変性が強く、椎間板が硬化して、頚椎に柔軟性の失われた患者での牽引効果には疑問があります。これも腰の場合にも当てはまりますが、牽引後に痛みやしびれの増強する場合には中止した方が良いでしょう。その外、生活上知っておくと良い点は、頚椎ヘルニアで上肢の痛みの強い方は手を下に下げていると痛みが強くなり、手を上にあげると痛みは軽くなります。知らず知らず、日中でも手を頭の上にあげている人がいますが、身体が発見した痛みを軽くする術なのです。それから、寝るときには痛みのある側を下に横になると痛みが強くなりますので、痛みのない側を下にしてください。さらに、仰向けで寝る時には、頭の低い位置では痛みが強くなりますので、枕は頭が少し上がる位の高さのものにしたら良いでしょう。このような生活の中での工夫も痛みを軽くするために必要なんですよ。次は、保存治療の効果のない患者や神経症状の悪化する患者のために、手術治療について説明します。手術治療も外科医によって手術のやり方に違いがあります。そのあたりも素人の方にわかりやすく説明いたしましょう。

↑ 腰痛・坐骨神経痛で悩むより多くの方に読んで
いただきたいと思っております。
1クリックお願いいたします。
- 関連記事
-
trackbackURL:https://spine.drshujisato.com/tb.php/48-977b31c1