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頚椎椎間板ヘルニアに対する仕立て屋手術:術後カラーのいらないMD手術とは?

.17 2011 頚椎椎間板ヘルニア comment(0) trackback(0)
 40歳代の男性が10年来、左肩から腕に痛みとしびれがあり、今年の4月頃からは人差し指・中指にしびれが強くなり、夜は痛みが強く睡眠が十分取れなくなったと受診されました。他の病院では頚椎には特に問題はないとの診断を受けていました。症状からは、左の頚椎7番目の神経根の症状であり、MRIとCTから頚椎6番と7番の左の椎間孔(神経根が骨の中から外にでるトンネル)に古い石灰化した椎間板ヘルニアを認めました。長い経過ですので、ヘルニアが固くなり、次第に椎間孔が狭くなり、7番の神経根の圧迫が進み、痛みと手指のしびれが強くなったのです。長い経過と根性痛(神経根が出す痛み)が強いいため、手術治療を決めました。この場合、通常ですと前回説明した前方固定術が行われるます。頚椎の前方から椎間板を摘出し、椎間孔内の硬化したヘルニアを摘出して神経根の圧迫を取り除き、チタンケージを空になった椎間板腔に挿入して骨の固定を行います。術後は入れたチタンケージがずれたりしないように首にカラーをつけます。そのカラーをつける期間は外科医によって異なります。この患者のように、椎間孔内や脊柱管の外側部のヘルニアの場合には、私は首の後ろの真ん中付近に17mm位の切開を加え、直径16mmのチューブ状の開創器(チューブレトレクターといいます)を骨まで挿入し、手術顕微鏡下に骨を僅かに削り、その下の靱帯を切除して、神経根を出し、その下からヘルニアを摘出します。腰のヘルニアに対するMD手術と同様の手術を行うのです。この患者の場合には、ヘルニアが固くなり簡単には摘出できませんので、無理をすると神経根を傷めてしまいます。そのため、神経根除圧といって、ヘルニアと骨とで神経根が板挟みになり、圧迫されていますので、骨を少し削って板挟み状態を解消し、神経根の圧迫を取り除く手術を行いました。この患者の手術時間は丁度1時間、出血量は30mlでした。頚椎のMD手術の方が腰椎のMD手術より、時間はやや長く、出血量もやや多い傾向があります。この頚椎MD手術の良さは、術後、首にカラーは必要ないことです。なぜなら、骨の固定は行わないからです。翌日から、カラーなしで患者さんは起きることができ、2週間までには退院ができ、カラーが不要ですから、退院後は車の運転も直ぐにできるわけです。このように、ヘルニアの出る場所(前回の説明ではCやB)によっては、このようなMD手術で治療ができるのです。しかし、ヘルニアが骨の真ん中付近に出る(前回のA)では、従来の前方固定術が必要です。MD法では骨の真ん中付近のヘルニアを摘出することはでません。私は、頚椎椎間板ヘルニアでは、このようにヘルニアの出る部位によってMD手術と前方固定術を使い分けています。患者のヘルニアに応じた仕立て屋手術が可能な時代なのです。




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