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腰ヘルニアの大きさで重症度は決まらない!

.25 2011 腰椎椎間板ヘルニア comment(8) trackback(0)
 腰のヘルニアをMRIで検討していると、ヘルニアの大きさは様々なことが分かります。小さいヘルニア、中ぐらいのヘルニア、大きいヘルニア、巨大ヘルニア。これらへルニアの大きさの厳密な定義はありませんが、脊柱管内を一杯に占めるものを巨大ヘルニア、直径5mm位の神経根の太さと同じくらいのサイズのヘルニアを小ヘルニアとして、イメージしてください。また、ヘルニアの重症度は神経症状の重症度と同じ意味と理解してください。この前提で話しを進めます。ヘルニアの重症度に関係するのは、脊柱管の断面積、すなわち脊柱管が広いか狭いか、ヘルニアの脱出部位と方向、さらにヘルニアの大きさです。先ず、脊柱管の断面積が狭い人ほど、ヘルニアがどの部位に出ても神経への影響は強くなります。たとえば、狭窄症を持った人がヘルニアになると狭窄症を持たない人よりも症状は出やすく強くなる傾向があります。次に、脊柱管内のどこにヘルニアが出るかが重症度に関係します。脊柱管の中心部には硬膜管があり、その中は液体が循環しており、その中に馬尾と呼ばれる多数の神経が存在しています。この硬膜管を小さなヘルニアが圧迫しても、馬尾は圧迫を受けません。硬膜管が圧迫の影響を受けるのは大きいヘルニアや巨大ヘルニアの場合です。馬尾がヘルニアで圧迫された場合、神経根の圧迫によるような激痛は発現しません。下肢のしびれや脱力、会陰部や臀部の感覚障害、排尿障害や肛門括約筋の麻痺などが起こるのです。この馬尾障害が急性に発生した場合には脊柱管中心部のヘルニアを疑います。また、脊柱管の外側にヘルニアが出ると、神経根が圧迫され、臀部から大腿部の激痛になります。激痛になるか否かは神経根が圧迫されるか否かで決まるのです。神経根が圧迫されると、圧迫を受けた神経根の行き先、すなわち神経根の支配領域の皮膚にしびれや痛みが発現し、筋力の低下も起こります。この脊柱管の外側の狭い部位にヘルニアが出ると、ヘルニアの大きさが小さくても神経根の圧迫影響は強くなるのです。時々、小さなヘルニアが神経根を狙い撃ちしたように神経根を直撃しているMRI所見を見ます。この場合、ヘルニアが小さくても患者は激痛に泣くことになるのです。また、ヘルニアが神経根に沿って、脊柱管よりもっと狭い椎間孔へと向かって脱出すると神経根の圧迫影響は極めて強くなります。このように脊柱管内に出るヘルニアでは、脊柱管の広さ狭さとヘルニアの脱出部位・脱出方向とヘルニアの大きさによって症状の強さが決まるのです。、単に、ヘルニアが大きいか小さいかのみで症状の重篤さが決まるわけではないのです。



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drshujisato
16/12/12のまささんへ   Re: ヘルニア発症から様子見

そうですね。症状が改善しているのでしたら、それでよいと思いますよ。
ヘルニアは自然に治る人が多いのでね。3ヵ月を過ぎてもよくならない場合には手術を
検討されたらよいと思います。

FROM SHUJI SATO
2016.12.18 23:35
まさ
重い荷物を持ち上げる作業中に腰に激痛が起こり倒れ、MRI検査で小さなヘルニアが発見され、発症から40日が過ぎました
もらった座薬が効いて痛みが薄らいで仕事に復帰しました
医師は自然に治ると言ってますが、3ヶ月ほど様子見しようかと考えてます
これ以上長引くと不安なので、手術も考えておかないとと思っています
2016.12.12 07:21
drshujisato
16/05/07の文鳥さんへ  Re: 回答ありがとうございました。
>

麻痺や運動障害がなく、痛みがコントールされているのであれば、保存治療で経過をみるのでよいと思います。
麻痺や感覚障害が発現するなら、その程度にもよりますが、基本的には手術を検討するので宜しいでしょう。
それではお大事に。

from SHUJI SATO
2016.05.09 23:03
-
このコメントは管理者の承認待ちです
2016.05.07 17:53
文鳥
お忙しいところ、お返事ありがとうございました。

腰椎椎間板ヘルニアのある場所は4番目と5番目の間だそうです。



前回書き込み後、神経根ブロック注射を行い、幾分か楽になったようですが、本人いわく今回ブロックした神経根ではないところ(?)も痛いようで、まだ仕事に行ける状況ではないようです。
週明け前回とは違う神経根にも神経根ブロック注射を受けたいと言っています。

現時点では麻痺や運動障害がないようなので、まずは前回とは別の神経根ブロックを受け、様子を見、再度痛みが強くなったり、麻痺や感覚障害が出たときには手術を受ける方向で考えています。素人考えではもうそれしか思い付かないのですが、先生はどう思われますか?

お忙しいのに何度もすみません。再度回答いただければ幸いです。
2016.05.07 14:04
drshujisato
16/04/27の文鳥さんへ  Re: はじめまして

何番の腰椎椎間板ヘルニアかの記載がありませんが、
ヘルニアの大きさと痛みなどの症状との関係は必ずしも相関しません。
小さなヘルニアでも出る部位によっては激痛になり、動くことさえできなくなります。
このような激痛は手術によって解消できます。
その時期の判断ですが、麻痺が出てきたり、感覚障害が強くなるようであれば、
早期手術が必要と私は考えています。
手術が安全になっていることとヘルニアによる神経障害を後に残さないためが、早期手術の
理由です。
参考になれば幸いです。

海外にいたりで、回答が遅れ失礼しました。

FROM SHUJI SATO
2016.05.05 11:54
文鳥
昨夜質問を投稿させていただきましたが、記載不足がありました。
大変、失礼いたしました。

本人は男性、年齢は63歳です。
2016.04.27 12:48
文鳥
家族が1ヶ月ほど前から左臀部から腿にかけて痛みを訴え、近所の整形外科に行きました。MRI検査の結果、ごく小さなヘルニアができているとのことで、牽引(と言うのでしょうか、腰を引っ張る治療)を何度か受けました。
しかし、良くなるどころか痛みは悪化する一方で、10日ほど前からほぼ寝たきりの状態になりました。
特に座る(臀部~腿が伸びるような)動作が辛く、排便の恐怖から、水分のみで生活するような状況になりました。ブロック注射をしても効かず、どうにもならなくなり、腰痛で有名な整形外科に転院しました。

しかし、診断は前医師と変わらず、「こんな小さなヘルニアでそんなに痛くなるはずはない。大袈裟なのではないか?」とまで言われてしまい、なんとも言えない思いをしました。
とはいえ、このままでは日常生活を送ることさえままならないので、神経根ブロック注射を数日後にしてもらうことになっています。それを待っている今も日々悪化しているようです。

もし神経根ブロック注射をしても良くならない場合は、手術をするしかないのだと思うのですが、いかんせん担当医師の反応が上記の通りで、言い様のない不安を感じています。担当医師の評価(この程度のヘルニアでは、そんなに痛むことはないはず)はどうあれ、MRIにうつったヘルニアを取り除くことで、症状が改善される可能性はあるのでしょうか?
それとも、きちんと痛みの強い原因を特定してからでなければ、正確な手術は困難で改善は見込めないものなのでしょうか?

先生の見解をお教えいただければ幸いに思います。


最後に先生のブログを拝見して、痛みの強さとヘルニアの大きさは比例するものではなく、神経に触れているかどうかが問題と知れて、とてもありがたく思っています。
2016.04.27 01:11

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