腰のヘルニアをMRIで検討していると、ヘルニアの大きさは様々なことが分かります。小さいヘルニア、中ぐらいのヘルニア、大きいヘルニア、巨大ヘルニア。これらへルニアの大きさの厳密な定義はありませんが、脊柱管内を一杯に占めるものを巨大ヘルニア、直径5mm位の神経根の太さと同じくらいのサイズのヘルニアを小ヘルニアとして、イメージしてください。また、ヘルニアの重症度は神経症状の重症度と同じ意味と理解してください。この前提で話しを進めます。ヘルニアの重症度に関係するのは、脊柱管の断面積、すなわち脊柱管が広いか狭いか、ヘルニアの脱出部位と方向、さらにヘルニアの大きさです。先ず、脊柱管の断面積が狭い人ほど、ヘルニアがどの部位に出ても神経への影響は強くなります。たとえば、狭窄症を持った人がヘルニアになると狭窄症を持たない人よりも症状は出やすく強くなる傾向があります。次に、脊柱管内のどこにヘルニアが出るかが重症度に関係します。脊柱管の中心部には硬膜管があり、その中は液体が循環しており、その中に馬尾と呼ばれる多数の神経が存在しています。この硬膜管を小さなヘルニアが圧迫しても、馬尾は圧迫を受けません。硬膜管が圧迫の影響を受けるのは大きいヘルニアや巨大ヘルニアの場合です。馬尾がヘルニアで圧迫された場合、神経根の圧迫によるような激痛は発現しません。下肢のしびれや脱力、会陰部や臀部の感覚障害、排尿障害や肛門括約筋の麻痺などが起こるのです。この馬尾障害が急性に発生した場合には脊柱管中心部のヘルニアを疑います。また、脊柱管の外側にヘルニアが出ると、神経根が圧迫され、臀部から大腿部の激痛になります。激痛になるか否かは神経根が圧迫されるか否かで決まるのです。神経根が圧迫されると、圧迫を受けた神経根の行き先、すなわち神経根の支配領域の皮膚にしびれや痛みが発現し、筋力の低下も起こります。この脊柱管の外側の狭い部位にヘルニアが出ると、ヘルニアの大きさが小さくても神経根の圧迫影響は強くなるのです。時々、小さなヘルニアが神経根を狙い撃ちしたように神経根を直撃しているMRI所見を見ます。この場合、ヘルニアが小さくても患者は激痛に泣くことになるのです。また、ヘルニアが神経根に沿って、脊柱管よりもっと狭い椎間孔へと向かって脱出すると神経根の圧迫影響は極めて強くなります。このように脊柱管内に出るヘルニアでは、脊柱管の広さ狭さとヘルニアの脱出部位・脱出方向とヘルニアの大きさによって症状の強さが決まるのです。、単に、ヘルニアが大きいか小さいかのみで症状の重篤さが決まるわけではないのです。

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