腰ヘルニアには病的意味を持つ物と持たない物がある。その違いはどこにあるか。それはヘルニアが神経に影響を与えるか否かにある。神経に影響を与えないヘルニアはただの老化現象に過ぎない。しかし、神経に影響を与えたヘルニアは痛みとしびれで患者を苦しめる。これこそがヘルニアの病的状態なのである。MRIは椎間板とそのヘルニアを如実に示してくれる。しかし、MRIが示すヘルニアの内、病的状態にあるものはどれか。脊椎外科医にはこの診断力が問われのである。今までも書いてきたように、ヘルニアが神経を障害する特定の部位が背骨の中と外にある。痛みやしびれを出している神経を特定し、後はMRIでその神経を障害している想定部位にヘルニアを発見したのなら、ヘルニア診断は確定する。障害を受けている神経とその原因であるヘルニアの一致性が手術の成功には絶対必要条件なのである。手術治療を考えないdoctorはこの診断に関心が低いし、手術で結果を出せない脊椎外科医の原因も多くはこの診断の詰めの甘さにあると言って良い。解り安い例えを引用するなら、事件が起き、容疑者が複数いる。だれが犯人か。私はいつもこれを例えにするのだが、名刑事は複数の容疑者の中から犯人を追い詰め、自供に持ち込み、事件を解決へと導く。この捜査の甘さが誤逮捕になったり、冤罪を生むことになる。椎間板ヘルニアも同じである。何の害も与えていないヘルニアが神経障害の原因と決めつけられ、手術されることが起き得るのである。腰ヘルニアが手術治療の目標ではない。神経を傷害し、症状をだしている腰ヘルニアこそが手術すべき対象なのである。名脊椎外科医になるためには、名探偵ならぬ名ヘルニア診断医になることが大前提条件なのである。この診断が甘く、曖昧なために、世には腰ヘルニアに悩み続ける患者が後を絶たないのである。
↑ 腰痛・坐骨神経痛で悩むより多くの方に読んで
いただきたいと思っております。
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