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腰痛を扱った「ためしてガッテン」の放送内容に強く抗議する

.23 2011 腰椎椎間板ヘルニア comment(0) trackback(0)
11月22日にNHKで放送された「ためしてガッテン」の放送に不適切な内容があったことに遺憾を表明します。その主たる理由は「急性腰痛とその慢性化」と「慢性腰痛症」が区別なく扱われたことから視聴者に椎間板ヘルニア患者に対する誤解と偏見が生じる危惧があるためです。慢性腰痛症の原因に心因性要因が関与する可能性は昔から言われてきたことですが、それを診断する科学的根拠をもった確かな方法が存在しなかったため、椎間板ヘルニアなどの器質的疾患の除外が前提とされてきました。しかし、腰椎レントゲン撮影もCTも、そして最新のMRIをもってしても、腰痛や下肢痛の器質的疾患を診断するには相当の専門的知識と画像診断力が必要であり、この正確な診断自体が常に行われているかには大きな疑問があります。1例を挙げるなら、腰ヘルニアによる腰痛や下肢痛は脊椎疾患の専門医が診ているにも関わらず、見落とされていることが少なくありません。また、放送の中にもあったように、椎間板ヘルニアがMRIで見られても無症状の人は私も沢山経験しており、椎間板ヘルニア自体は普通に生活している人々に見られる、ありふれた椎間板の加齢現象であり、問題にすべき物は少ないと考えています。このことを以て、椎間板ヘルニアが腰痛や下肢痛の原因にならないかのような表現には問題があります。椎間板ヘルニアによる腰痛は基本的に「急性腰痛」であり、「坐位によって増強」します。坐位では椎間板ヘルニアがより突出し、痛みに関係する靱帯を圧迫・牽引するからです。放送の中で紹介されていた患者でくしゃみで痛みが発症し、手術でヘルニアが摘出されたが、痛みが取れなかった患者に関しては、いくつか原因が考えられますが、これを以て腰ヘルニアが原因ではなかったと判断することは早計と思います。心因性腰痛がくしゃみで急性に発症することなど考えられません。手術で腰痛が治らなかったことから、失望・不安で心因性要因も加わり、これが痛みを複雑にした可能性は否定できないと思います。番組後半に紹介された福島県立医科大学整形外科の仕事は心因性腰痛に科学的根拠を与える可能性をもった興味あるもので、治療を含めたその取り組みには私も高い関心をもっています。新しい知見を一般の方々に紹介することが番組の目的なら、誤解の生じない内容に組み立てて欲しかったと思います。繰り返しますが、あの番組を見た腰ヘルニア治療中の患者は不快な思いをし、心を痛めたのではと心配でなりません。



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