fc2ブログ

続・腰痛を扱った「ためしてガッテン」の放送内容に強く抗議する

.24 2011 腰椎椎間板ヘルニア comment(0) trackback(0)
やはり予想通りに、あの番組を見て腰ヘルニアの痛みは『精神的なストレス』によるものと理解した人達が私の周りにも現れた。腰椎でも頚椎でも神経根が椎間板ヘルニアによって圧迫され、刺激されて起こる痛みは経験のない方々には想像を絶するものである。痛みがとれるならこの下肢(あし)、上肢(手)を切り取っても良いと呻く患者を私は多数見てきた。腰ヘルニアが神経根を強く圧迫し、慢性化した患者は痛みやしびれ以外に麻痺や冷感(上肢や下肢が異常に冷たく感じる)などに苦しむ。何よりも、生活の質が大きく損なわれる。長く座っていられない。腰を前に曲げて行う動作ができない。夜も痛みでしばしば目が覚め、寝不足になる。痛み止めを連用して胃痛が起こるなど、生活は破綻状態と言っても過言でない。しかし、多くの椎間板ヘルニアの患者はこれらの症状に耐え、日常を維持しようと必至に頑張っている。
番組の中では、簡単にではあるが麻痺や排尿障害などの神経障害が進むヘルニアでは手術が必要と説明され、この点では評価できる。しかし、腰痛の大部分が原因不明で、精神的ストレスの関与が大きく、椎間板ヘルニアによる腰痛はないかのような印象を一般の方々に与える番組構成であったことは誠に遺憾である。腰ヘルニアによる腰痛に悩み、生活している方々は実に多い。症状からは間違いなく椎間板性の痛みと疑われても、現在のMRIを含めた診断法では、特定の椎間板との因果関係を明らかにすることは困難なのが実情である。従って、腰痛のみの椎間板ヘルニアには手術治療は通常行われない。しかし、そのような患者が後日、ヘルニアが進み、神経根症状を呈して手術になることもある。私は、長く脊椎疾患を扱う臨床現場に身を置いて、つくづく思うことは腰痛や頚部痛、上肢や下肢の痛みやしびれの診断や治療の難しさである。さらに、医師の診断力と手術技術の大きな格差も厳然と存在する。ある医師は単なる「筋・筋膜性の腰痛」と診断し、ある医師は「椎間板性腰痛」と診断し、ある医師は「椎間関節性の腰痛」などと診断する。さらに、これからは『精神的ストレスによる腰痛』との診断が増えるのかと危惧される。それらを検証する確かな手段を持たないのが現在の臨床レベルであるということを大前提に専門家や報道関係者は一般の方々に誤解を招かない情報発信をして頂きたいと願う。


にほんブログ村 健康ブログ 腰痛・ギックリ腰へ 人気ブログランキングへ

     ↑           ↑
腰痛・坐骨神経痛で悩むより多くの方に読んで
いただきたいと思っております。応援クリックお願いいたします。


関連記事

  • comment
  • secret
  • 管理者にだけ表示を許可する

trackbackURL:https://spine.drshujisato.com/tb.php/86-4ee3b55e