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頚椎と腰椎の同時手術、最小侵襲手術だからこそ可能になる!

.07 2011 脊椎最小侵襲手術 comment(4) trackback(0)
私は時折、頚椎と腰椎、あるいは胸椎と腰椎の同時手術を行う。それは、両方の病変が進行しているため、脊髄や馬尾、神経根の機能障害を進めないためである。神経組織は障害が進むと回復が悪くなり、手術をしても後遺症が残ることが多い。同時手術で一番多い組み合わせは、頚椎のMD手術と腰椎のMD手術である。最近は、頚部には狭窄症による脊髄の圧迫が強く認められ、腰椎には脊柱管内の中心部に大きな椎間板ヘルニアを伴った70歳代後半の女性で首・腰の同時手術を行った。腰痛と下肢のしびれと痛み、歩行障害、両上肢の痛み・しびれが主症状であった。頚部では、後部の真ん中に17mmの切開を加え、直径18mmのチューブ状開創器(チューブ・レトレクター)と手術顕微鏡を用いたMD法により脊髄の後方除圧を行った。引き続き、腰椎でも腰の真ん中に17mmの切開を加え、チューブ・レトレクターと手術顕微鏡を用いたMD法によりヘルニア摘出を行った。総手術時間は1時間50分、出血量は13mlであった。患者は頚椎と腰椎の同時手術でも翌日から歩行開始できる。いずれの痛みも少ないため、それが可能になる。このような患者では、手術は二回に分けて行われるのが普通だが、私はいずれの障害も切迫している場合には同時手術を行う方針である。このような事ができるのは、最小侵襲手術なればこそである。術前、多くの患者は一度で治せる喜びと同時手術による苦痛の倍増に不安をもたれるが、術後すぐにその不安は解消される。最小侵襲手術は手術治療の可能性を大きく広げる手術である。


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drshujisato
naomiさんへ
 返事遅れ、失礼しました。言われる通りに人工椎間板は欧米、韓国などで行われていますが、日本では保険収載されていません。さらに、長期成績が不明であり、安全性を含めて課題は多いと思います。固定術は確かに隣接椎間に新たな問題を出し得る点が欠点ですが、これが人工椎間板で克服されるかは不明です。それに、固定術は従来の開窓法、経皮的方法、私が行っているチューブレトレクターと手術顕微鏡を用いた小切開法など種々あります。私が行っている最小侵襲固定術を行う術者は米国と比べると日本では遙かに少ないのが現状です。そういう点では、最小侵襲固定法の普及は日本で
遅れていると言えます。
2012.05.25 23:29
naomi
以前質問させて頂いたnaomiです。
最近海外の脊椎手術で人口椎間板ADRがネットでよくみられますが、固定術に関しても、かなり日本と術式が違います。
実際海外の術式のが優れているのでしょうか?
2012.05.22 13:18
drshujisato
naomiさんへ
 最もな疑問だと思います。固定すると動きの負荷が隣の椎間にかかりますので、そこにすべりや狭窄症、ヘルニアなどが発生することがあります。私は固定する場合には隣の椎間に狭窄やヘルニアがある時には原則、同時に手術しますが、その程度次第と思います。軽い物なら必ずしも同時には行いません。貴女のヘルニアがどの程度のものかによって対応は異なると思いますよ。
2012.04.24 18:49
naomi
先日はありがとうございます。
再度質問させて下さい。
腰の手術の際L4/5はすべりがひどいのでチタンで止めるという診断ですが、その下のL5/S1が明らかにヘルニアがある場合でも、まだ症状がでてないのでそのままでとのことでした。
ですがこれは正しいのでしょうか ?固定したら明らかに負担がかかってその下のヘルニアは悪化するのは目に見えています。確認しても方針に変更はありません。これは正しい手術なのでしょうか?とても不安で、手術してもまた手術という恐ろしい感じがしています。
よろしくお願いいたします。
2012.04.23 18:58

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