発達性脊柱管狭窄症とは、生まれつき脊柱管構造の狭さがあり、そこに加齢による椎間板や靱帯の影響で、脊柱管の内腔が更に狭まり、その中を通る脊髄や神経根が圧迫されて症状の起こる病気です。
通常は、指先のしびれや、頚部から肩、肩甲部、さらに上腕、前腕へと痛みやしびれが起こり、進行すると指が使いにくくなり、手や腕に力が入りにくくなります。不快な冷感を訴える人もいます。さらに脊髄の圧迫が進むと、足のしびれや歩行障害などが発現するようになります。激しい頚部の運動は脊髄の障害を進める危険性があり、そのためNAOKIさんはダンスを制限されたのです。
頚部の脊柱管狭窄症は発達性(あるいは発育性)と加齢による頸椎症性のものに大きく分けられます。発達性は青年期や壮年期に発病し、頸椎症性は老年期に発症する傾向があります。この病気は腰椎にもあり、原因は頚椎と基本的に変わりません。人によっては頚椎と腰椎の両方に発達性脊柱管狭窄を持つことがあります。頚椎でも腰椎でも根治療法は手術治療しかありません。
NAOKIさんは手術治療を受ける予定と報道されていますが、頚部の脊柱管狭窄症では一般的に脊柱管を広げる拡大椎弓形成術が行われています。これは脊髄の容器として狭くなり過ぎた脊柱管の、いわば拡張工事と言えます。これには色々な術式があり、一長一短があります。私は手術顕微鏡を使い、出来るだけ小さな切開で形成術を行っています。まず、脊柱管の後ろの壁にあたる椎弓という骨の部分を真ん中で縦割りして、その外側に溝を掘り、縦割りした椎弓を左右に両開きし、その間にセラミック・スぺーサーをチタンワイヤーで結びつけています。これは椎弓の正中縦割法と呼ばれている術式です。手術時間は約2時間、出血量は100ml以下です。翌日からソフトカラーをつけて離床でき、カラーは1週間以内にはずします。入院は約2週間です。
手術の注意点は脊髄を傷めないことは勿論ですが、大きく切開して、筋肉を強く圧排して手術すると術中に筋肉を傷め、術後、頚部痛など不快な症状が起こり、残存することです。
脊髄の障害が進む前に手術治療を行うことが大事です。障害された脊髄機能は時間が経ち過ぎると回復が悪くなるからです。
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